『らんまん』志尊淳と佐久間由衣が作った憩いの空間  朝ドラで描かれてきた数々の屋台

『らんまん』朝ドラで描かれてきた数々の屋台

 連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第23週となる「ヤマモモ」が放送された。竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)が土佐を引き払ってやってきた。2人は東京での新しい商いとして、土佐料理の屋台を始めることにしたのだ。そこで箸休めとして提供されているのが、万太郎(神木隆之介)にとって故郷の味でもあるヤマモモ。綾は東京では採れないヤマモモをみんなで食べるため、砂糖に漬けて持ってきたのだった。

 今週は竹雄と綾の屋台と、寿恵子(浜辺美波)の待合茶屋という2つの商いについて描かれた。特に竹雄と綾が始めた屋台には、万太郎の友人である波多野(前原滉)や藤丸(前原瑞樹)も訪れ、その味に舌鼓を打つ。こだわりの出汁に、手打ちの蕎麦、綾の作る小鉢や、提供される酒は、これまで竹雄と綾が歩んできた人生を表しているようにも思えた。洋食屋でウエイターをしたことがあり、美味しいオムレツが作れる竹雄が料理で商いをはじめることも、万太郎を支えたあとに綾の夢を叶えようと並走し続ける姿も、竹雄らしさに溢れている。そして、あれだけ酒のことに熱心だった綾が、例え峰屋のものでなくともまた酒を提供する場を持てたこともなんだか嬉しい。

 みんなが集まった屋台では、お互いの身の上話から故郷の味について、はては竹雄と綾の夢である「酒造り」についても語られる。屋台は早くもみんなの憩いの空間になっているのだ。もともと変形菌の研究をやっていた藤丸はここでの話をきっかけに、綾らと共に酒造りの研究をしようとするなど、大きな決断の舞台にもなった。

 これまでの朝ドラでも、屋台が登場人物たちの憩いの場となることは度々あった。現在の『らんまん』で広瀬佑一郎を演じる中村蒼は、朝ドラ『エール』(NHK総合)では鉄男役を演じていた。そこで鉄男が営んでいたおでん屋の屋台も印象的だった。この店は、裕一(窪田正孝)や久志(山崎育三郎)ら「福島三羽ガラス」が集い、絆を深めた場所でもある。この屋台は福島県福島市にある福島駅前に「おでん屋台再現セット」として建てられ、市民にとっても憩いの場になった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる