ウィル&エリザベスも再登場 『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』で描かれる愛

『最後の海賊』で描かれる愛

 『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にて、地上波初登場の『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』が放送される。

 ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)とブラックパール号の仲間たちとの旅は、ウィル(オーランド・ブルーム)とエリザベス(キーラ・ナイトレイ)との前半3部作で一度幕を閉じた。

 シリーズ後半戦の始まり『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』では、元カノのアンジェリカ(ペネロペ・クルス)と共に、生命の泉に向かうことになる。バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)やギブス(ケヴィン・マクナリー)、父親のキャプテン・ティーグ(キース・リチャーズ)など、おなじみのキャラクターも登場。新たな黒ひげ(イアン・マクシェーン)とも対峙し、信仰がテーマでもある物語だった。

 そして今回放送される5作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』で、我々はフライング・ダッチマン号に再会することになる。フライング・ダッチマン号の船長になってしまい、10年に一度しか陸に上がることができない呪いをかけられたウィルとエリザベスの間に生まれた子ども・ヘンリー(ブレントン・スウェイツ)が、“ポセイドンの槍”で父親の呪いを解こうとしていた。

 成長したヘンリーは働いていた船で魔の三角海域(バミューダトライアングルとも呼ばれる、実際に行方不明の船が出た場所)に入ってしまい、サラザール(ハビエル・バルデム)に出会う。ヘンリーは、彼がジャック・スパロウとコンパスを求めていることを知り、ポセイドンの槍を見つけるためにもジャックを探し出そうとする。

 いつも伝説のアイテムがジャックたちの望むものへと導いてくれるが、今回カギとなるのはジャックの“コンパス”とどこかに隠されている“ポセイドンの槍”だ。毎度大活躍するこのコンパスは、今一番欲しいものを指す優れもの。ジャックはコンパスを託されたときに「裏切るな」と言われており、コンパスには持ち主に裏切られると最大の恐怖を解き放つという怖い側面もある。サラザールはジャックによって、魔の三角海域に引き入れられ、海の呪いに苦しむようになってしまった。そのためジャックがコンパスを手放せば、自分が解き放たれると考えて、コンパスを探していたのだ。

 海を支配できるという理由からバルボッサも狙うポセイドンの槍は、現実にもギリシャ神話の伝説として語り継がれている。『アリエル』の父・トリトンが持っていると言えばイメージしやすいと思うが、フォークのような形の三叉槍だ。こういった海の伝説を知っていればより楽しめるような内容になっているのが『パイレーツ・オブ・カリビアン』だと思い出させてくれる。

 また、このシリーズを観ていると、登場するレギュラーキャラクターたちに愛着がわいてくるものだ。危機に直面してものんきなジャックや、自分の利益のために動くがいつもジャックと協力関係になってしまうバルボッサ、そして優秀なギブスがシリーズのファンたちを安心させてくれる。しかし、海を漂い宝を狙う海賊たちにとって、あまり強い仲間意識はないようで、利害が一致すれば助け合うというような関係性がとても興味深い。そして彼らそれぞれの思惑が、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の物語を少し複雑なものとして作り上げている。

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