『トリリオンゲーム』の溢れ出る野心に引き込まれる 観ると勇気づけられる企業系ドラマ
現在、毎週金曜に放送中のドラマ『トリリオンゲーム』(TBS系)。ピカイチのプログラミングの腕を持つが就活に苦戦していたガク(佐野勇斗)と、口達者で人たらしなハル(目黒蓮)が1兆ドルを手にする夢を実現するために起業しようとするところから始まる。
そこに、こちらも就活苦戦中の凛々(福本莉子)も加わって、小さなアパートの一室でアイデアを紡ぎ出し、ハッタリをかましながら会社を成長させていく。ちょっと変わったはみ出し者たちの物語だ。
ストーリーとしては、ホストクラブに潜入してアプリを売り込んだり、人力でAIのふりをするなど到底現実世界でマネできるものではないだろうが、大学を卒業したばかりの若者たちの溢れ出す野心には引き込まれるものがある。“起業”という希望のある仕事だからこそ、視聴者にもそのワクワクが伝わるのではないか。
今までも、『トリリオンゲーム』のように金儲けを目的としなくとも、20代から切磋琢磨して会社を大きくしてきた物語はあった。「スタートアップ企業はうまくいったら“ユニコーン”と呼ばれる」、『ユニコーンに乗って』(TBS系)はそんな高みを目指す若者たちの物語だ。主人公でCEOの成川佐奈(永野芽郁)、CTOの須崎功(杉野遥亮)、栗木次郎(前原滉)の3人はEdTech企業を立ち上げ、順調に売り上げを伸ばしていた。ある日、その中に“おじさん”小鳥智志(西島秀俊)が加わることになる。
すでに会社はある程度形になっているところから始まり、そこでの若者たちの奮闘だけでなく、同じ目標を持った違う世代とのやり取りの中で感じるジェネレーションギャップや中堅層が今まで培ってきた社会経験との調和などを描いている。そして会社を立ち上げたその先のビジョンを見据えることの大切さや“新しいもの”と“今まであるもの”をうまく融合することのシナジーを学ぶことができる作品だ。
『ユニコーンに乗って』が目指した“心の癒し” プロデューサーの松本友香&岩崎愛奈が語る
永野芽郁が主演を務めるTBS系火曜ドラマ『ユニコーンに乗って』が9月6日に最終回を迎える。 教育系スタートアップ企業の若き女…
『トリリオンゲーム』でも投資家たちをいかに口説き落とすかが様々なシーンで鍵となるが、『ユニコーンに乗って』でも、若きCEOの佐奈が様々な方法で事業を存続させようと駆け回っていた。そんな投資をする側の立場で描かれていたのが『スタンドUPスタート』(フジテレビ系)だ。主人公・太陽(竜星涼)は起業家としての資質や精神を持つ人たちを見出し、自ら話を持ち掛けて投資する。自分らしく生きていく手助けをするためには、大企業の立て直しや再就職の手助けまで行う。すべては人とのつながりが作り上げており、自ら“人間投資家”と名乗っている。
新たに会社を立ち上げることは希望がある一方、矢面に立つことに対する不安が大きい。そんな彼らに寄り添って、ベストな方向へと導いていく。ビジネス用語が多用される作品だが、わかりやすく説明もしてくれるため、経営の勉強にもなる。『トリリオンゲーム』もこのように、投資する側の立場で観てみるのも面白いかもしれない。