『トリリオンゲーム』目黒蓮と佐野勇斗の正と悪の見事な対比 2人の運命を変える分岐点

『トリリオンゲーム』ハルとガクの対比

 どんなモノにも、それを作った人がいる。汗をかき、手を動かし、努力に努力を重ねて作り上げたプロセスがある。その過程を抜きに、美味しいところだけかっさらうなんてことはガクにはできなかった。それは、ドラゴンバンクの社長・一真(國村隼)が、トリリオンゲームのAIショップ『ヨリヌキ』が育ったところを見計らって、その成果を奪っていってしまった悔しさを知っているから。そして、同時に一真と戦おうとするハルが、メディアを乗っ取り力を手に入れようというのも、また同じ穴の狢になろうとしていることでもあった。

 形あるモノを作る側に立つガクと、形のない力を支配しようとしているハル。「二兎を追う者は一兎をも得ず。でもな、1人では無理でも2人で追えば必ず捕まえられる」とハルは言うけれど、別々のものを見始めた2人はこれまで通りとはいかない。「あなたたちは2人で1セットですものね」というキリカ(今田美桜)の言葉も、前だったら“そうだそうだ”と頷いたが、なんだか今は“本当にそうだろうか”とモヤモヤしてしまう。

 まだ彼らは気づいていないのだろうか。それとも、この分岐点さえももしかしたらハルの作戦通りなのか。「お前なら勝つだろ?」と問うハルに、かつての弱気なガクはもういない。「勝つ。絶対勝つ! 勝とう!」という力強い答えが返ってくる。その証拠に、キリカ相手にデートをし、観覧車で対峙するなんて姿も第1話では考えられなかったものだ。

 いつか自分が離れることを想定して、ハルがガクをそう仕向けたのだとしたら……? 「俺たちは2人で両輪」とハルが肩を組むも、ガクに20億円の行方を尋ねられたてすぐに「俺を信じろ」なんて言いつつ離れていってしまった姿は、なんだか未来を暗示しているのではないかと不安になる。テンポよく成り上がっていく様子が痛快な『トリリオンゲーム』。次回はいよいよ“怪物経営者”こと一真が動き出しそうな予感だ。きっとハルなら大逆転を成功させてくれるはず。そう期待しながらも、どこか本音を読み切れない心のざわめきがスリリングだ。ハルとガク、2人の道がいつ大きく離れてしまうのか。そこまでハルの狙い通りになるのか、ますます目が離せない。

■放送情報
金曜ドラマ『トリリオンゲーム』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:目黒蓮(Snow Man)、佐野勇斗、今田美桜、福本莉子、竹財輝之助、あかせあかり、國村隼、吉川晃司
原作:稲垣理一郎/作画:池上遼一『トリリオンゲーム』(小学館『ビッグコミックスペリオール』連載)
脚本:羽原大介
演出:村尾嘉昭、竹村謙太郎、田中健太
プロデューサー:松本明子、松下ひろみ、加藤章一
主題歌:Snow Man「Dangerholic」(MENT RECORDING)
製作:TBSスパークル、TBS
©TBS/撮影:高橋裕子
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/trilliongame_tbs/
公式Twitter:@trillion_tbs
公式Instagram:trillion_tbs
公式TikTok:@trillion_tbs

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