『ホリミヤ -piece-』の恋模様に胸が高鳴る夏 各話ごとに変化する演出の面白さ

 第3話は体育祭の話だが、動的な映像の魅力から青春の汗が滴るような爽やかさを感じさせてくれる。女子のチアリーディングはカッコいいとかわいいが対比された表現となっており、男女問わずに楽しめる上に、それぞれのキャラクターの体育祭に対する思いも伝わってきた。そして最後には夕日の赤みを帯びた廊下の配色の中で光の表現を用いることにより、日常の中の特別な日であることを強調していた。

 一方で、第4話は堀こたつの中に入ってゴロゴロと寝転がるシーンが多くを占める静かな回だ。冬場のまったりとした空気感のように、堀こたつの中で眠ってしまうようなのんびりとした雰囲気が漂う。その中でも面白いのは、画面の見せ方だ。時には画面を小さくすることで、ガラケーの写真機能を通して日常の1シーンを覗いているような感覚になったり、あるいは回想の中で生徒会室に入る堀を映し出すときに2画面に分割するなどの演出が見られたりした。

 そして第4話では堀と宮村のキスシーンや、宮村が堀の指を舐めるシーンがある。どちらもミカンを食べさせるやりとりの中で起きた艶かしいキャラクターの演技にドキリとさせられた。視聴者はその様子を覗いているような気持ちになり、恋愛作品特有の胸の高鳴りを感じる。アニメ映画『同級生』の監督を務めた中村章子が絵コンテを担当した回でもあり、艶のある恋愛描写が楽しめる話だ。このように、各回でアニメ演出の方向性は異なりつつも、石浜監督の采配のもと安定した『ホリミヤ』らしさが楽しめる作品になっている。

 一昔前ではこのような中高生のラブコメディ作品は夕方18時頃から放送され、学校帰りの子どもたちが楽しんでいたのではないだろうか。今作は少し大人な艶かしさに憧れを持つ、中高生たちにも響く等身大の恋愛劇になっている。この夏に爽やかで胸が高鳴るような恋愛模様を楽しみたい人々にオススメしたい。

参照

※ https://square.unext.jp/article/horimiya-anime-interview

■放送情報
『ホリミヤ』
TOKYO MX、とちぎテレビ、群馬テレビ、BS11にて、毎週土曜23:30〜放送
MBSにて、毎週土曜26:08〜放送
※放送日時は編成の都合等により変更となる場合あり
キャスト:戸松遥、内山昂輝、山下誠一郎、小坂井祐莉絵、岡本信彦、M・A・O、近藤玲奈、山下大輝、福山潤、八代拓、麻倉もも、小野大輔、浪川大輔、茅野愛衣、寺崎裕香、金元寿子
原作:HERO、萩原ダイスケ
監督:石浜真史
シリーズ構成・脚本:吉岡たかを
キャラクターデザイン:飯塚晴子
総作画監督:飯塚晴子、髙田晃、緒方浩美、清水裕輔、佐野隆雄
色彩設計:横田明日香
美術監督:薄井久代、守安靖尚
撮影監督:佐久間悠也
CGディレクター:宮地克明
編集:木村祥明
音響監督:明田川仁
音楽:横山克
制作:CloverWorks
製作:「ホリミヤ -piece-」製作委員会
オープニングテーマ:「幸せ」Omoinotake
エンディングテーマ:「URL」坂口有望
©HERO・萩原ダイスケ/SQUARE ENIX・「ホリミヤ -piece-」製作委員会
公式サイト:https://horimiya-anime.com/
公式Twitter:https://twitter.com/horimiya_anime

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