『キングダム 運命の炎』吉沢亮&大沢たかおのカリスマ性を堪能! 再現度の高さに大興奮
そして、もうひとりのカリスマ、王騎将軍だ。
このシリーズは、原作漫画からの再現度が非常に高い。中でも王騎将軍は、原作からそのまま出てきたとしか思えない。冷静に考えると、原作の王騎将軍と大沢たかおは全然似ていない。それなのに、どこからどう見ても王騎将軍なのだ。『MEN'S NON-NO』出身でいかついイメージは皆無だった大沢たかおが、いかにして王騎将軍になったのか。
めちゃめちゃ筋トレしたのは当然として、特筆すべきはその食事だ。「朝から肉を700g」とか、「プロテインにアイスクリームと生クリームを混ぜる」とか、およそ近代アスリートとは真逆のアプローチである。(※)だが、それでいい。彼がなろうとしたのは近代アスリートなんかではなく、紀元前の中国の闘士なのだから。
例えば王騎将軍が主人公・信のような歩兵であったなら、まったく違うアプローチになっただろう。自らの肉体ひとつで戦う歩兵にとって、もっとも必要なものは敏捷性だと思われる。生き残るためには、信や羌瘣(清野菜名)のような高い身体能力が必要だ。その肉体を作るためには、鶏のササミ中心で炭水化物を減らすといった、階級別格闘技(ボクシングなど)の選手のような食事になるだろう。細マッチョでモテそうな体型となる。
一方、王騎将軍のような立場になれば、戦闘の際は基本的に騎馬状態である。機動力は馬に全振りするので、闘士にとってもっとも必要なものはパワーである。それも、大鉈一閃で人間を5~6人薙ぎ払えるようなパワーだ。その種のパワーを身につけるには、スポーツ科学的なことは言っていられない。ガンガンに鍛えてガンガンに喰う。これしかない。体重無差別系格闘技(相撲など)の選手のような食事となる。「モテるために筋トレをする」ような、甘っちょろい思想は微塵もない。
事実、今シリーズ中で“将軍”と呼ばれるキャラは、みなデカい。2作目である『キングダム2 遥かなる大地へ』のクライマックスで死闘を繰り広げた、麃公(豊川悦司)も呉慶(小澤征悦)もデカかった。
王騎将軍の魅力は、その強さだけではない。常に柔らかい物腰。時に女性的に感じるほどの丁寧な言葉遣い。そして、絶やさぬ笑顔。理想的な上司である。だが、これだけでは舐められてしまう。いちばん大事な点は、「笑顔が怖い」ことだ。「この人いつもニコニコしてるけど、怒らせたら秒で殺されるだろうな……」と、部下たちに思わせておくことが肝要だ。そして、このタイプの上司に褒められた時は嬉しさもひとしおである。だからこそ、信をリーダーとする「飛信隊」(王騎命名)は、王騎将軍からのミッション遂行に命を懸けたのだ。この飛信隊の活躍が、今作のメインテーマである。
この物語は、飛信隊の活躍後にシークレットの超大物が2人登場して、唐突に終わる。観て初めてわかるのだが、この作品は2部作のようだ。原作通りなら、後編は王騎将軍大活躍である。
筆者はすでに原作を読んでいるので、このエピソードの結末を知っている。後悔している。話の顛末を知らないまま後編を観ることができるあなたは、最高に幸せ者だ。後編では、最高にカッコいい王騎将軍を見られるはずなので、期待してほしい。
参考
※ https://mdpr.jp/news/detail/3874304
■公開情報
『キングダム 運命の炎』
全国公開中
出演:山﨑賢人、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、満島真之介、岡山天音、三浦貴大、杏、山田裕貴、髙嶋政宏、要潤、加藤雅也、高橋光臣、平山祐介、片岡愛之助、山本耕史、長澤まさみ、玉木宏、佐藤浩市、大沢たかお
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉、原泰久
原作:原泰久『キングダム』(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
音楽:やまだ豊
配給:東宝
©︎原泰久/集英社 ©︎2023映画「キングダム」製作委員会
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