『らんまん』の“深い悲しみ”は今後にどうつながるのか 峰屋の廃業と園子の死

『らんまん』“深い悲しみ”の第18週

 『らんまん』(NHK総合)第18週「ヒメスミレ」は、峰屋の廃業、そして園子が天国へと旅立つという、竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)、万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)それぞれにとってつらい展開が描かれる。

 奉公人たちを前に峰屋の暖簾を下ろすことを伝えた竹雄と綾。第90話では、分家の豊治(菅原大吉)と紀平(清水伸)、伸治(坂口涼太郎)が知らせを聞いて、峰屋にやってくる。“分家ーズ”の愛称でお馴染みのこの3人で思い出すのは、タキを演じる松坂慶子が『あさイチ』(NHK総合)「プレミアムトーク」に出演した際に、芝居から滲み出るタキへの恨みや怒りを強く感じたと話していたことだ。峰屋を相続するのが綾、そしてその伴侶となる竹雄であることが伝えられた回のことである。

 開口一番に「ざまあないのう」から始まる豊治の態度は相変わらずではあるが、かつての勢いはさすがに感じられない。根拠のない自信に満ち溢れていた伸治は峰屋を「クジラ」に例えながら、自分は「小舟」で、助けに出たところでもろとも沈んでしまうと、ようやく自分を客観視できるようになっていた。はっきり言ってしまえば、未熟なまま大人になってしまった伸治の描かれていない歳月を、坂口涼太郎が彼のどこかヘラヘラした仕草で持って見事に体現している。それを腕組みをして恥ずかしそうな表情で見つめる豊治。最後に竹雄と綾に駆け寄って、「おまんらじゃろうが! アホ! 竹雄のくせに!」「達者でのう!」と2人を抱きしめる伸治の素直な優しさからは、時が解決させた彼らなりの雪解けを感じさせる。

 また、豊治が綾にかけた言葉も忘れられない。女性の身で蔵元となった綾を認め、殿様の酒蔵のまま幕を引いたことを褒め称えたのだ。「ばあ様もご先祖も、さぞ喜んじゅうじゃろう」という言葉を聞いて、綾の顔には涙がしたたる。分家としての長年にわたる思いもきっとあっただろうが、これは最後の最後でタキが望んでいた「互いに手を取り合って」という言葉が叶うこととなったと言えるのではないだろうか。

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