『らんまん』佐久間由衣&志尊淳を襲った運命の急転 万太郎のロシア行きに暗雲漂う

『らんまん』峰屋を襲った運命の急転

 『らんまん』(NHK総合)第89話では、代々続く峰屋の歴史に終止符が打たれた。植物学教室を出入り禁止になり、博物館での受け入れも断られた万太郎(神木隆之介)。残された希望は、ロシアへ渡ることだった。マキシモヴィッチ博士の下で研究することを寿恵子(浜辺美波)は了承し、さっそく万太郎は手紙をしたためる。留学中の滞在費は現地でまかない、渡航費は峰屋に援助を請う計画だった。

 佐川の峰屋では、綾(佐久間由衣)と竹雄(志尊淳)が新酒の味をたしかめていた。「新しい酒はのう、峰乃月より明るい酒にしたかったき」と綾。柑橘のさわやかさと風味が香り立つ新酒には、綾の工夫の成果が現れていた。夫婦仕草が板についてきた2人。「幸せじゃのう」と口にする竹雄に好きになった相手の名を持ち出されて、「ほれた人間は一人しかおらん」と返す綾の表情からは、満ち足りた現在が伝わってきた。

「万太郎に会いたいのう。会うていつまでもアホみたいに笑い合いたい」

 このままこの幸せが続いてくれたら。竹雄の願いと裏腹に、峰屋には運命の暗転が待ち構えていた。「腐造」である。酒に火落ち菌が混入することで味が変わり、売り物にならなくなる。腐造を出した酒蔵は廃業に追い込まれ、蔵をたたむことを余儀なくされるのが通例。竹雄は役人の上田(平原テツ)に税金を猶予してもらえるように頭を下げるが、反応は鈍かった。

 第42話で、出荷時に課されていた税金が、酒を造った時点で課税される造石税に変わり、役人が峰屋に踏み込んできた。その時の役人も上田だった。難局を乗り越え、綾に代替わりしてからの峰屋は、蔵元として順調に歩んできたように見えた。まさか腐造を出してしまうとは……。運命の円環がめぐりめぐっていちどきに押し寄せるように、こうなることはあらかじめ仕組まれていたのだろうか。

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