『トリリオンゲーム』目黒蓮の計算されたしたたかさ 求心力が増すハルというキャラクター
「この缶ビールにいくら出すかは、あんたが決めろ」なんて言われては、501万円を出さずには帰れないのが桐花の性格。そこをピンポイントで突いていくところが、ハルのなんともニクいところでもある。そうして、1ヵ月で2,000万円の売上を達成したAIショップ「ヨリヌキ」。それを蜜園社長(余貴美子)に、AIの中身が凜々だと見破られたときにも、ハルは慌てるどころかむしろ“待ってました”と言わんばかりの冷静さ。「ハッタリでも結果が出せりゃ誰も損しませんから」と微笑むハル。そして、創業100年を誇る蜜園フラワーの職人たちが持つ技術と知識をもとに、本物のAIを作ることを提案するのだった。
もちろん、この取引の裏側に桐姫が、ドラゴンバンクの傘下に入る買収話を持ちかけているのも計算済み。ドラゴンバンクの買収を受ければ、経営陣はすっぱりクビを切られてしまうという噂も、蜜園社長の耳に入りやすいようにハルが動いていたなんて可能性もなくはない。彼女にとって、自分の会社が別の人のものになってしまうことが最も避けたい選択肢なのだというのは容易に想像できるのだから。加えて、花を愛する気持ちが誰よりも強いというのも、売上至上主義のドラゴンバンクに乗っ取られたくない大きな理由だと思われる。これまでオンラインを導入しなかったのも、「花を贈るのは、気持ちを贈るということ」「お客様はわざわざお店に行きあらゆる角度から花を見て、自分の気持ちにピッタリ合った花かどうか五感を使って選ぶ」と話していた蜜園社長。
その話を聞いていたときに、ハルは「チャンス到来」とばかりに口角を上げていた。花に対する愛情ならば凜々も負けてはいない。きっと蜜園社長は、凜々ことAIのトリンリンの提案に満足するはずだ、と。そして、あらゆる角度から花を見る技術も、結果的にガクが実現してくれた。もしかしたら蜜園社長が話していたときに、その未来が見えていたのではないだろうか。そしてドラゴンバンクの買収はなしを蹴り、トリリオンゲームとの契約が成立する未来も……。
何気ない会話の中に、その人が何を求めているのかをキャッチアップしていくこと。そして、「そうせずにはいられない」状況をお膳立てして、相手の意思で巻き込まれていくように仕向ける。考えてみれば「パソコンを使って仕事がしたい」という想いにバチッとハマる会社を作ってガクと手を組んだときも、就職できるのであればどんなことでも頑張るとしていた凜々を社長に任命したときも、そしてなぜかハルのために高級酒をオーダーしてしまっている祁答院(吉川晃司)もそう。気づけば、みぃんなハルに吸い寄せられるように、行動を共にせずにはいられない。しかも、結果的にハルの勢いに乗せられていくうちに、みんなの人生がどんどん充実していく。そんなグッドスパイラルを生み出し、求心力を増していくハルというキャラクターと、演じている目黒の運命がどこかリンクしているように思えてならない。
第4話では目黒の同期であり親友でもあるジャニーズJr.の原嘉孝が出演することが発表された。「はらめぐ」コンビの愛称でファンに親しまれてきた2人。目黒が常々「俺が一番芝居がすごいと思うやつ」と言ってきた原が、目黒の主演作に出演するという展開に胸が熱くなる。しかも、原が演じるのは、ハルたちが仲間に引き込むゲーム会社『SAKUSAKULAB』の社長・桜心護という役どころ。ここから原の演技にも大きな注目が集まることになりそうだ。ハルと同様、周囲の人たちを巻き込み幸せにしていく目黒の飛躍に、ドラマと連動して心が高まる。
■放送情報
金曜ドラマ『トリリオンゲーム』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:目黒蓮(Snow Man)、佐野勇斗、今田美桜、福本莉子、竹財輝之助、あかせあかり、國村隼、吉川晃司
原作:稲垣理一郎/作画:池上遼一『トリリオンゲーム』(小学館『ビッグコミックスペリオール』連載)
脚本:羽原大介
演出:村尾嘉昭、竹村謙太郎、田中健太
プロデューサー:松本明子、松下ひろみ、加藤章一
主題歌:Snow Man「Dangerholic」(MENT RECORDING)
製作:TBSスパークル、TBS
©TBS/撮影:高橋裕子
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/trilliongame_tbs/
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