『どうする家康』岡田准一×松本潤による異色の「本能寺の変」 “たった一人の友”への思い

『どうする家康』異色の「本能寺の変」

 信長は明智勢を一瞥すると、燃え盛る城中へと戻っていく。かつて家康に「お前の心の内など分かるもんか!」と言われ、目に涙を浮かべていた時のように、一瞥する鋭い目つきにも涙がにじんでいるように見えた。唯一の友に憎まれ、討たれることも叶わず、その現実に落胆したであろう信長だが、未来からの家康の呼びかけに応えるように足を止める。

「さらば……狼。ありがとう。我が友……」

 家康の声が届くことはない。だが、その声を受け止めるようにして信長は火の海へと消えていった。

 信長の人生において、幼い家康らと相撲をとって遊んでいた頃だけが楽しい思い出だった。若き信長は自身に食らいついてきた竹千代(川口和空)に「地獄を生き抜け」と言う。「いつの日か、わしがお主の国を奪い、お前のことを食ろうてやる。覚悟しておけ!」と竹千代をおどかす信長のいたずらっぽいまなざしが心に残る。「竹千代がそなたを食らってやる」と竹千代が言い返すと、「そうじゃ、それでええ!」と嬉しそうに笑った。信長が見せた素直な笑顔だった。

 家康にとって、信長との思い出は決して楽しいものではなかった。その一方で、信長に地獄を見せられなければ、ここまで生き延びることはできなかっただろう。無情にも信長の死が2人の心を通わせた。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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