『最高の教師』は綺麗事を許さない？　『3年A組』『最高の生徒』を踏まえて展開を予想

鵜久森はどのように九条に関わってくるのか？

　今後の展開を考えると、まず鵜久森に関してはこれで一件落着とは思えない。少なくとも、最初の世界線で鵜久森が亡くなっているのなら、30人の容疑者の1人ではないことが決定した。しかし芦田愛菜をキャスティングしたからには、最後まで事件に関わる何かがあるはず。最初の世界線で鵜久森は九条の助けがなかったことで結果的に自殺したのなら、鵜久森の親友か愛すべき人に恨まれ、仇として九条は突き落とされたという線も考えられる。ただ、死んだとされる本当の要因がイジメとは限らない。鵜久森が生き残ったことでイジメの対象が変わり、鵜久森の友人が同じ運命を辿ったのなら、今度は鵜久森が九条を恨んで殺すという、未来は結局同じ結果になる可能性も。綺麗事を許さない『3年A組』のスタッフなら、未来をそう簡単にはいいように変えさせないだろう。

　また、鵜久森もイジメの件からも分かるように、3年D組は生徒たちによる多数決の裁判によって審判が下される気持ちの悪いクラス。九条が突き落とされたのも、クラスでの裁判の結果だというのも十分に考えられ、突き落としたのはクラス全員の判断という可能性も。現世ではその裁判の多数決に勝てるかの勝負になってくる。ここで3年C組も少し関わってくるかもしれない。

真実を知れば知るほど残酷な事実が待ち構えている辛さ

　もう一つ気になるのが、里奈の夫・九条蓮（松下洸平）が、1度目の人生では、4月21日に離婚を切り出し、夏に離婚をしていること。その理由がまだ明かされておらず、第2話でも現世で離婚届を提出される様子。松下洸平という主演級の俳優を起用していることからも、離婚理由には死に繋がる重要な鍵があるはず。夫絡みで生徒に恨まれるという展開も考えられる。

　この作品の最も辛いところは、もし真実が分かったところで、知れば知るほど辛い事実が待ち構えていること。ただ、一つの希望があるとするなら、放送前から話題となっていたサブタイトルの「私は生徒に■された」。今の段階では「殺された」と考えるのが自然だが、敢えて伏せたというのは、展開次第で違う言葉が入る可能性があるということだろう。とはいえ、ただ辛い事実に向かっていく物語は考えにくいので、良き先生になることで、生徒に救われたり、生徒全員から愛される存在になり、そうした言葉が入ることがあるのかも。リアリストの『3年A組』のスタッフなら、タイムリープという非現実的なことを描かないという声もある（生徒を人質にとるのも非現実的ではあるが）。九条は突き落とされたものの、まだ死んでおらず、ドラマで描かれているのは、病床の昏睡状態の中で、あの時にこうしていれば良かったと見ている夢の世界、そんな可能性もあるだろう。

　『3年A組』の放送から4年以上が経過し、コロナ禍を経て人間関係が更に複雑化している現代社会において、当時と同じように教師からの言葉で生徒たちが改心したり、結末となったところで面白くはないし、衝撃もないだろう。ここをどう発展させるのかが今後注目したいところ。オリジナル脚本なので、『時をかける少女』のように何度もタイムリープしてやり直したり、伊藤英明主演映画『悪の教典』や松たか子主演『告白』のように教師が暴走していく展開も無きにしも非ずだが、果たしてどんな展開となるのか？　物語はまだ始まったばかりだ。

■放送情報
新土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演：松岡茉優、芦田愛菜、奥平大兼、加藤清史郎、當真あみ、茅島みずき、山時聡真、本田仁美（AKB48）、窪塚愛流、福崎那由他、田牧そら、山下幸輝、寺本莉緒、萩原護、詩羽、田中美久（HKT48）、浅野竣哉、丈太郎、柿原りんか、橘優輝、莉子、田鍋梨々花、夏生大湖、藤嶋花音、岩瀬洋志、阪本颯希、岡井みおん、藤﨑ゆみあ、のせりん、川本光貴、白倉碧空、細田善彦、長井短、サーヤ（ラランド）、犬飼貴丈、荒川良々、松下洸平
演出：鈴木勇馬
プロデューサー：福井雄太、鈴木努、秋元孝之
チーフプロデューサー：田中宏史
主題歌：菅田将暉「ユアーズ」
制作協力：オフィスクレッシェンド
製作著作：日本テレビ
©日本テレビ
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