『この素晴らしき世界』若村麻由美のコミカルな芝居が光る ちりばめられた“主婦あるある”

『この素晴らしき世界』主婦が大女優に⁉︎

 浜岡妙子(若村麻由美)の大胆な変装劇を描く木10ドラマ『この素晴らしき世界』(フジテレビ系)がスタートした。鈴木京香が体調不良により降板し、若村麻由美が主演を務めることになった本作は、平凡な主婦の日常ときらびやかな芸能界の大きなギャップを描く、フジテレビの完全オリジナルドラマである。第1話の開始早々、妙子はとんでもない出来事に巻き込まれていく。若村のコミカルな芝居に、ちりばめられた主婦の“あるある”がくすりと笑いを誘う。

 スーパーでパートをする普通の主婦・妙子は、同じスーパーの新人パート・詩乃(平祐奈)のやる気のなさにモヤモヤしながらも、平々凡々な日常を送っていた。だがここ最近、何者かが妙子の跡をつけている気配を感じていた。ある日、突然家に押しかけてきたのは、芸能プロダクション「曼珠沙華」の西條隼人(時任勇気)だ。隼人はある頼みごとをするために、妙子のことを調べていたのだ。その頼みごととは、スキャンダルを起こして失踪してしまった大女優・若菜絹代(若村麻由美:2役)になりすまして、スキャンダルの謝罪会見をしてほしいというもの。そこで妙子は、若菜が過ごしてきた芸能界のまばゆい魅力を知ることに……。

 息子のあきら(中川大輔)が社会人になった今、熟年離婚も考えている妙子にはお金が必要だ。だからこそ300万円という大金に釣られて、大女優のなりすましというリスクある仕事を引き受けてしまったのだ。だが本作はことの重大さをシリアスには描かない。300万を入れるための箱を楽しそうに選び、記念に札束を連写するなど、妙子はとっても楽しそう。ずっと欲しかったものを手に入れたときに取ってしまいがちな行動の数々には、思い当たる節がありすぎてついつい笑ってしまう。そこには妙子が長年生きてきた生き方というものが如実に現れていた。主婦とはいろいろなサイズの箱を取っておいてしまうものなのだ。

 若菜になりすましてからの妙子は、若菜の夫である水田夏雄(沢村一樹)の色男ぶりに、ちょっと浮き足立ってしまう。夏雄は軽いところはあるが、ほだされそうな魅力があり大女優の夫に相応しい存在感を持つ。記者会見では大胆に妻への想いを語り、記者と国民を感動の渦に巻き込む天性の人たらし。だがこの調子の良さは、妙子にとってはかなり刺激的だったのではないか。離婚を考えている陽一(マキタスポーツ)との暮らしは、脱いだ時に丸まったままの靴下が洗濯機から出てくるし、とんちんかんな家電への関心、仕事への謎の持論を持ち出されるような日々なのだ。

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