今や人気シリーズの常套手段? 「続編が2部作」問題を興行面から考える

「続編が2部作」問題を興行面から考える

 通常のシリーズ作品の続編と「続編が2部作」の最も大きな違いは、企画段階から公開タイミングも含め次作の公開が決定していることで、撮影を連続して敢行できることだ。つまり、連作として公開のインターバルが短く、連続して撮影することで製作費を圧縮することができて(売れっ子の役者のスケジュールを何度も合わせる手間も省ける)、うまくいけば興収も倍増、という作り手サイドからするといいこと尽くめのスキームだ。そのハシリといえるのは、1989年公開の『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』と1990年公開の『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』なので、ハリウッドでは30年以上前からある手法だ。

 問題は、いいこと尽くめと言えるのはあくまでも作り手側で、それも「うまくいけば」ということ。さらに、どのような基準をもってして「うまくいった」とするかということも考える必要があるだろう。2021年7月公開の実写版映画1作目『東京リベンジャーズ』の最終興収は45億円。2023年4月公開の2作目『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』は6月25日までの公開66日間で興収25億円強。『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の公開直前に前編の駆け込み需要が起こっているわけでもないので、このまま26億円〜27億円の最終興収で終わる見込みだ。この結果でも、確かにビジネスとしては「うまくいった」と言えるのかもしれないが、1作目の観客の40%以上が映画館で続編を観ることを見送ったことは重く受け止めるべきだろう。もし今後もシリーズを続けるつもりならばなおさら、需要の「先食い」をしてしまったことになるのではないか。

 ちなみに、『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』の上映時間は90分、『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の上映時間は96分。『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の上映時間は163分なので(それはそれで長すぎるが)、両作合わせても20分ちょっとしか変わらないことになる。

■公開情報
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』
全国公開中
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』
6月30日(金)公開
出演:北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太朗、吉沢亮、永山絢斗、村上虹郎、高杉真宙
原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社『週刊少年マガジン』連載中)
監督:英勉
脚本:髙橋泉
配給:ワーナー・ブラザース映画
©和久井健/講談社 ©2023映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」製作委員会
公式サイト:tokyo-revengers.jp
公式Twitter:@revengers_movie
公式Instagram:@revengers_movie

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