『水星の魔女』スレッタがついに“主人公”化 クワイエット・ゼロの禍々しさも明らかに

『水星の魔女』スレッタがついに“主人公”化

 これまでクワイエット・ゼロという言葉は何度も登場してきたが、それが実体を持つのか持たないのか、その詳細は一切不明だった。しかし、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第21話「今、できることを」では、ついに謎に包まれていたクワイエット・ゼロがベールを脱いだ。

※本稿には『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第21話のネタバレを含みます。

 ノレアの暴走によって崩壊したアスティカシア高等専門学園では、多くの生徒が避難所生活を強いられていた。生徒たちが「もう何日目だよ」「シャワー浴びたい」と不満を漏らしており、かなり長い期間にわたって隔離されていることがわかる。生徒のひとりは移動許可の話をしていることからも、おそらく生徒の中にフォルドの夜明けの仲間が潜んでいないかという確認のための隔離が行われているのだろう。

 その中でもひとり積極的にボランティア活動をしていたのがスレッタだ。食べ物に飽きている生徒たちに、スレッタは温室で育てたトマトを配っていた。ノレアの暴走で破壊されてしまった温室だったが、スレッタは育てていたトマトを冷凍保存していたのだ。みんなに配ろうとするスレッタに対して、マルタンがミオリネに確認しなくてもいいのかと聞くと、「ミオリネさんはいいからさっさとやりなさいよって言うと思います」と答えていたのが印象的だった。プラント・クエタ襲撃やグエルとの三度目の決闘に敗れて以来、ミオリネとの関係はこじれていた。特にホルダーの地位とエアリアルを失ってからのスレッタはどこか虚ろだった。そんなスレッタがみんなのために前を向いている。それもミオリネとの絆を確認できる唯一の場所であった温室の、それもトマトを通して。

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 そんなスレッタのもとにベルメリアとグストンが現れ、ベネリットグループと宇宙議会連合の衝突を止めてほしいとお願いされる。プロスペラを説得するためには娘であるスレッタの力が必要だと考えてのことだが、スレッタは「お母さんを説得するのは無理だと思います」と自身が本当の娘ではないことを告白する。地球寮のメンバーにも言ってこなかったスレッタの出自。プロスペラに見捨てられて自暴自棄になっていたスレッタが、自らの過去と向き合うかのように淡々と語る背中は少し寂しげだ。だが、今はスレッタを支えてくれる仲間がいる。だからこそ、こうして打ち明けることができたのだ。

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