『どうする家康』“父”松本潤に重なる細田佳央太の繊細な芝居 新たな松平信康像を築くか

細田佳央太、“父”松本潤に重なる繊細な芝居

 『どうする家康』(NHK総合)で心優しく、少し生真面目に物事を考えすぎてしまうところは、父・家康(松本潤)譲りの松平信康を細田佳央太が演じている。将来を期待される若殿としての初々しさ、家康が浜松城に移ったため、岡崎城を自分が守るという城主としての責任感の強さも芽生えつつある信康の成長を繊細に、時に力強く演じる細田の演技力には目を見張るものがある。

 だからこそ、これから信康と、彼の母であり、家康の正妻である瀬名(有村架純)に襲いかかる悲劇がどう描かれるのか、SNSなどでもすでに話題になっている。

どうする家康 松平信康(細田佳央太)

 第21回「長篠を救え!」では、武田軍に包囲され、落城寸前となった奥三河の長篠城と信康や瀬名が居城としている岡崎城が舞台となった。長篠城の城主・奥平信昌(白洲迅)の家臣・鳥居強右衛門(岡崎体育)が決死の覚悟で書状を携え、岡崎に向かった。家康は、なかなか兵を出してくれない織田信長(岡田准一)に再び、今度は少し強気で援護を求めると、3万を超える大軍勢が岡崎へと押し寄せた。

 娘婿である信康との初めての対面に、織田信長は丁寧に(それでも肩はがっちりと叩きながら)「今さらながらの対面、許されよ。織田信長である」と挨拶。信長の恐ろしいほどの威圧感に負けず、爽やかに「信康にございまする!」と返し、信康は意外なほどの大物ぶりを発揮した。

どうする家康 松平信康(細田佳央太)

 信康の妹、亀姫(當真あみ)に対して信長が「姫。長篠がいまだ落ちずに持ちこたえておるのは、ひとえに姫のおかげ。礼を申す。戦が終わりし暁には、一日も早く奥平殿のもとに参るがよろしかろう」と、突然亀姫と奥平信昌の政略結婚の話を始め、その場を凍らせてしまう。徳川ファミリーが勢揃いする貴重な場面で場の空気すべてを掌握し、自分の思い通りの展開に持っていくのが、さすがの信長流。

 信康に対しては強気な五徳(久保史緒里)も父・信長に対しては大人しく、むしろ義理の父である家康にはわがままを言えても、実の父の前では借りてきた猫のよう。そんな妻・五徳のことも、妹の亀姫の気持ちも察知し、理解できる聡明な信康だが、空気を読めてしまうぶん、戦国の荒々しさを求められる時代では生きづらいことも多かったのかもしれない。

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