『らんまん』神木隆之介の“本気”の姿が伝播していく “別の道”を歩む寿恵子の切ない表情も

『らんまん』神木隆之介の“本気”が伝播

 『らんまん』(NH総合)がスタートしてから約2カ月。6月9日の放送にて記念すべき第50話を迎えたが、万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)は徐々にすれ違い始めてしまっている。

 「白梅堂」で寿恵子の母・まつ(牧瀬里穂)と菓子職人の文太(池内万作)に、しばらく白梅堂には来ないこと、そして、この国で植物学を始めるという大事な仕事のため、全力で走っていくことを宣言した万太郎。第10週「ノアザミ」は、雑誌制作に向けて万太郎が神田の大畑印刷所で働き始める。頭から砂を被るような見習い・雑用からスタートした万太郎だったが、その手際の良さ、熱意を認められ、ついに画工職人の岩下(河井克夫)から石板に絵を描くことを許される。

 面相筆の先に墨をつけ、石板にヒルムシロ(前田(阿部亮平)にとっては、ヒルゴ)を描く万太郎。その周りを囲む工場主の大畑(奥田瑛二)、岩下らが惹きつけられたのは、彼の創作への思い。浮世絵の彫り師として腕を鳴らした岩下に、江戸の火消しだった大畑。それぞれの場所で技を誇っていた人たちは、今もきっと別の場所に根付いている。かつての自分を殺しているという岩下、火消しが最上の職だと信じていた大畑に、万太郎の思いは熱く響く。「石版印刷は、これからきっともっと、すげえ熱い力を持つようになる」と。

 万太郎が初めて刷ったその絵は線もよれていて、影もうまく描けていなかったりと、自身が納得のいくものではなかったが、大畑や岩下が認める、本物を伝えるための手立てとしての絵――つまりは、植物学者の絵だった。

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