『らんまん』「若は卑怯です」を受けて万太郎はどうする? 切ない竹雄の悔し涙
大畑印刷所で働くことになった万太郎(神木隆之介)。『らんまん』(NHK総合)第47話では、そんな猪突猛進な彼の周囲にいる人の心が掻き乱される。
万太郎はようやく植物学教室に馴染み出した頃だった。少年漫画風に言えば「試練編」といったところだろうか。才能があるからと努力家の周りに冷たくされるなど、孤独を強いられるフェーズである。しかし、それも落ち着けば数人は自分の味方ができて、徐々に周りに認めはじめられる。そのあと、大概はその試練の成果を発揮するようなトーナメント戦や発表会的な展開に続くのだが……万太郎はなんと自らまた新たな「試練編」に突入したのだ。しかも今回は戦い方が違う。
最初、植物学教室の面々から疎まれていた理由は、小学校中退という学歴および他の学生のような努力をして東大の門を叩かなかったことだった。しかし、今回は奉公にも出たことがない、しかも奉公に来られる側だったボンボンが簡単に興味本位で仕事をさせてもらいにきたことで反感を買うことになる。印刷の工程に興味があったり、自分の筆跡通りの印刷にこだわったりすることは特別変でもないし、万太郎が極端な性格なのは今に始まったことではない。しかし、とにかく力仕事(に限らずどんな仕事も)したことがない彼が、ましてや砂っぽい職場で働くことは肺にも健康にも良くなかった。何が悲しくて、峰屋の当主がよその見習いから働かなければいけないのかと、竹雄(志尊淳)が怒るのも無理はない。「それはほんまに若がせんといかんことですか」と問われた万太郎は、決意を表明する。
「竹雄、わし、やりちゅうがじゃ。誰か一人が前に進んだ分、植物学も前に進む。せっかくこんな面白いときに居合わせたがじゃ、じっとしちゃおられんじゃろ。わし、前に進みたい。頼む」
その言葉に悔し涙を流す竹雄。万太郎の植物学に対する情熱は理解でき、応援したいから。しかし、それにしても自分が当主の側近として頑張ってきた努力も存在意義も失ってしまうほど、万太郎が綾(佐久間由衣)やタキ(松坂慶子)、峰屋のみんなが心配し、向ける“愛”について考えていない。
「竹雄、竹雄、竹雄」と茶化して頭をワシワシする万太郎だったが、それがやはり竹雄の辛さをわかっていない様子なのがしんどい。それを制された万太郎は、彼に背を向けて活版印刷に住み込みで働くことにすると話す。そこで働くことになっただけでも竹雄にとって辛いのに、追い打ちをかけるような万太郎に対し、彼はさらに傷いた。