『らんまん』浜辺美波の美しくも愛されるヒロイン像 深紅のドレス姿に見惚れる

『らんまん』浜辺美波の愛されるヒロイン像

 連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第9週となる「ヒルムシロ」が放送された。

 万太郎(神木隆之介)は植物図鑑の作成に向けて確かな歩みを進める。図鑑につながる第一歩として目指した植物学の雑誌は、なんと学会誌として発刊できることに。植物学者としては順風満帆な滑り出しである一方で、寿恵子(浜辺美波)への恋心が万太郎を悩ませていた。

 寿恵子は和菓子屋「白梅堂」の一人娘。東京編では、清楚なたたずまいと裏腹にオタク気質であることも判明し、視聴者を大いに沸かせている。『里見八犬伝』の熱烈なファンである寿恵子は、部屋で本のページをめくり「尊い!馬琴先生、天才過ぎる!」と悶絶することも。それまで「ザ・ヒロイン」として描かれてきた寿恵子の知られざる姿が明るみになり、一気に愛されるキャラクターとなった。

 そんな寿恵子の魅力がさらに大きく開花したのが第9週だった。かつて万太郎に美しいボタンの花を描いてもらった寿恵子は、『里見八犬伝』に登場する八犬士に牡丹の形の痣があることになぞらえて「ボタンを授けられた者は見知らぬ旅に出るんです」「誘ってもらったことがあって……私でいいならやってみたい。見たこともない世界に飛び込んでみたい」と口にしていた。

 このエピソード通り、寿恵子が見知らぬ世界に旅に出る日がやってきた。明るく好奇心旺盛で行動力もあり、何より自分の好きなものをはっきりとわかっている寿恵子が、とうとう自らの意思で母親を説得し「鹿鳴館」の世界に飛び込んでいくのだ。クララ先生(アナンダ・ジェイコブズ)のダンスに魅了された寿恵子はキラキラと輝く瞳で自らの着物の帯を解いてドレスの採寸をしてもらう。寿恵子は、こうした“自分らしさ”を発露できる堂々としたところが魅力だ。しかも自分の意思を通す姿がここまでチャーミングに表現されているのは、紛れもなく浜辺美波が演じているからこそ。意志の強さと奥ゆかしさの塩梅が、浜辺の表現の妙なのだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる