『コタローは1人暮らし』コタローの「ママ」が響く 横山裕が狩野を演じてきた意味を再確認

『コタローは1人暮らし』狩野の最後の子育て

 母親の死を知ったコタローに厳しい言葉をかけたのは、狩野の最後の“子育て”だったのかもしれない。本当はもっとゆっくりと母の死を乗り越える手助けをしてあげたかったはずだ。でも、2人の関係にはタイムリミットが近づいている。父のもとに帰ってから、コタローがひとりで悲しみを乗り越えなくてもいいように、狩野はつらい役割を担ったのだろう。

「お前の母親はもういない。そのことにちゃんと向き合わなきゃダメなんだよ。頭と心で理解して、ちゃんと悲しまなきゃダメなんだよ」

 このシーンを通して、横山裕が狩野を演じてきた意味を再確認させられた。2009年に放送されたドラマ『ザ・クイズショウ』(日本テレビ系)の時にも感じたのだが、とにかく横山は“訴える力”が強い。自分のなかに眠っている怒りや、世の中への問題提起。彼が何かを訴えたいと思う力が爆発すると、私たちは画面から一瞬たりとも目が離せなくなる。

 そして、ずっと母のことを「母上」と呼んでいたコタローが、言葉を絞り出すように「ママ……」とつぶやいた場面も、胸にこみあげるものがあった。劇中の狩野とコタローの関係性がごく自然に映るのは、横山と川原の絆があってこそ。そんな2人が織りなしてきた『コタロー』の最終回は、全員が笑顔で迎えられることを願ってやまない。

■放送情報
『帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:00~23:30放送
出演:横山裕、川原瑛都、山本舞香、百田夏菜子(ももいろクローバーZ)、松島聡(Sexy Zone)、白洲迅、大倉孝二、光石研、滝藤賢一、イッセー尾形、生瀬勝久
原作:津村マミ『コタローは1人暮らし』(小学館『ビッグコミックスペリオール』で連載中)
脚本:衛藤凛
音楽:篠田大介
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:都築歩(テレビ朝日)、尾花典子(ジェイ・ストーム)、松野千鶴子(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)、小田彩(アズバーズ)、小林麻衣子(テレビ朝日)
監督:飛田一樹、樹下直美ほか
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日、ジェイ・ストーム
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/kotaro2/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる