『波よ聞いてくれ』中村ゆりかの主人公回に感じた“人生を切り開く”というテーマ 

『波よ聞いてくれ』中村ゆりかの主人公回

 マキエにとっての兄の存在は、まどかにとってのミナレに対する敵対心であり、瑞穂にとっての久連木(小市慢太郎)に対する崇拝だ。マキエがミナレの番組のために書いた架空の物語「スープカレー屋伝説」で描かれていたように、師匠の味を追い求めるうちにいつの間にか自分オリジナルの味が出来上がって、それが案外誰かに認められる……ということも往往にしてある。もしかしたら、マキエたちのように「無意識のうちに自分を縛っていたものから解放され、自分自身の力で人生を切り開いていく」というテーマが本作の根底にはあるのかもしれない。

 今回、治郎の部屋にあった雑誌のスクラップで、麻藤(北村一輝)がよく口にしているシセル光明(小芝風花/2役)がラジオや舞台で活躍した伝説の芸人であることを知ったミナレ。その存在は麻藤を未だ縛りつけているもので、彼はミナレをシセル光明のようなパーソナリティーに育て上げようとしているのだろうか。

■放送情報
『波よ聞いてくれ』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15〜0:15放送
出演:小芝風花、片寄涼太、原菜乃華、中村ゆりか、平野綾、西村瑞樹(バイきんぐ)、井頭愛海、中川知香、小市慢太郎、北村一輝ほか
原作:沙村広明『波よ聞いてくれ』(講談社『月刊アフタヌーン』連載)
脚本:古家和尚
演出:住田崇、片山修、植田尚
音楽:林ゆうき、山城ショウゴ
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:高崎壮太(テレビ朝日)、神通勉(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
©テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/namiyo/

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