『ペンディングトレイン』静かに生まれた恋の四角関係 山田裕貴が抱く上白石萌歌への思い

『ペントレ』静かに生まれた恋の四角関係

 ただただ生きているだけで必死なのに、そんな状況でも恋は生まれるものだ。『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS系/以下『ペンディングトレイン』)の第5話では、直哉(山田裕貴)と優斗(赤楚衛二)、紗枝(上白石萌歌)の関係が動き出す。

 直哉たちが出会った6号車の人々の暮らしは、5号車より遥かに豪華だった。車内には棚が作られ、調理場にはふんだんな食料がある。そして、風呂やトイレまで設置されていたのだ。6号車のリーダー的存在の山本(萩原聖人)は船舶の免許を持っており、偶然見つけた廃船の無線が繋がった経験から今いる世界は2060年なのだと話す。未来から過去に帰る方法があるという山本の言葉に5号車の人々は希望を見出した。6号車の暮らしを手本に風呂を作ることもできた。だがそんな中で、静かに恋の四角関係が生まれるのであった。

 疑い合い、時に対立もした5号車の乗客は、今やすっかり“組織”として機能。共同作業で風呂を作ったり、調理をしたり、相手のことを知ろうとするようになった。そこで直哉たち3人の気持ちにも変化が現れる。それは“恋”や“愛”にまつわる変化だ。6号車を訪れたときに、優斗は紗枝を守ろうと、とっさに手を掴んで引き寄せ、自分は紗枝の婚約者だと嘘をつく。紗枝が揶揄われることを防いで、他の男性から加害されないようにするためだろう。その後も、優斗は紗枝の心が弾むような声かけをする。未来に来る前から優斗のことが好きだった紗枝にとっては心の距離が縮まったように感じられ、嬉しく思ったに違いない。

 それも束の間、優斗には元の世界に好きな人がいたことがわかってしまう。優斗は出来上がったばかりの風呂の中で目に涙を溜めながら、自分を励ましてくれていた意中の子の話をする。それを聞いてしまった紗枝は、すっかり傷ついてしまうのだった。

 直哉はそんな2人の姿を見て、複雑な心境に。直哉には素直になれない理由がある。「何が一番しんどいかって期待を裏切られた時だよ」と話すように、希望を持つことで絶望を味わうのが怖いのだ。直哉は元の世界に帰る希望を抱く優斗に対しても同様に感じており、しきりに信じることを拒む。それは紗枝に対しても同じだ。徐々に惹かれながらも、紗枝が優斗を好きだとわかっている直哉は前に進めない。自分のほうを振り向いてくれるかも、そんな淡い期待が叶わず傷つくのが怖いのだろう。

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