高崎かなみは誰もが応援したくなる魅力を持っている “まだ何者でもない現在地”を観て
ドキュメンタリー番組で取り上げられるのは、基本的に、世間から大きな注目を集めている人たちばかりだ。なぜなら、仕事に密着するにしても、プライベートに密着するにしても、その人が何をやっている人で、どんなスゴい人なのかが分かっている前提でないと、そのワンシーンにストーリーが生まれないからだ。「あの超有名アーティストは、普段どのように創作活動をし、どこから創作のインスピレーションを得ているのだろうか」「食事は意外と庶民的なんだな……」など、才能が感じられる人であればあるほど、活動の裏側の、一見地味な実態が貴重な情報として映える。
そんな当たり前とは違った視点で作られたドキュメンタリー番組が、4月27日より、配信限定でスタートした。タイトルは『ON⇔OFF』。密着されるのは、主にネクストブレイクが期待される若手タレントや若手アーティストで、タイトルの通り、仕事やレッスンに励む「ON」の姿と休日を楽しむ「OFF」の姿に迫った映像が、30分×4話で構成されている。
その第1弾として登場したのは、グラビア、女優、モデルとマルチに活動している高崎かなみ。撮影会や番組収録、お芝居の現場などで真面目に仕事に向き合う「ON」の彼女から、体づくりのためジムに通ったり、ショッピングに出かけたり、朝をのんびり過ごしたりする「OFF」の彼女までがリアルに切り取られた映像に、ほのかな共感と親しみを感じるのは、決して私だけではないはずだ。
高崎かなみのSNS総フォロワー数は、2023年5月現在で50万人を超えている。複数のグラビアオーディションでグランプリを獲得したことから“無敵のグラドル”と称され、『週刊プレイボーイ』や『FLASH』など、数々の雑誌で表紙を飾り、2021年7月にはファースト写真集『カナミノナカミ』(集英社)を発売。グラビアアイドルとしては第一線級の活躍を見せる彼女だが、女優としての代表作はまだないのが現状だ。きっと彼女の名前を聞いたとき、ピンとくる人もいれば、この番組を通して初めて存在を知る人もいるのだろう。
前述した“世間から大きな注目を集めている人”ではなく、これからの活躍が期待される人物の“今”に密着してみる。本作の魅力はそこに詰まっていると、私は思う。目標のために日々努力をし、休みの日には、自分と程遠くない日常を過ごしている若手タレント/若手アーティストの、“まだ何者でもない現在地”は、夢を持つ若者や、せわしない毎日をコツコツと生きる人たちに、ささやかな活力と勇気を与える気がするのだ。