『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は何度も映画館で観たい きめ細かい演出と作画の素晴らしさ
劇場版『名探偵コナン』では毎回の名物になっている、「俺は高校生探偵の工藤新一」のナレーションと共に流れるメインテーマ。コナン(と、新一)が基本設定のおさらいをするのだが、同じ構図の回想シーンを毎回流すタイトルバックにも、工夫を凝らした技術が用いられている。前作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(2022年)は、ハロウィンに沸く渋谷が舞台だったことから、渋谷駅周辺の大型ビジョンやアドトレーラーにその映像を映していたが、本作では潜水艦のパネル類と、艦内の壁に映し出している。アニメーションがセル画作画のアナログ時代には難しかった技術も、デジタル作画とCGIの技術向上によって可能になってきた。これから始まるドラマにグッと没入できるメインテーマのタイトルバックも、特色を凝らした作品毎に注意して観ると面白いだろう。
そのほか、作画と演出に絡めた部分では、“黒の組織”の女性幹部ベルモットが、私室で見せる(魅せる)姿、最後のシーンでとあるキャラクターの口もとに近づく灰原の唇が、一瞬アップになる時に淡いピンク色で塗られているこだわりなど、見れば見るほどキャラクターの芝居や作画の見事さに驚かされる。このような画面の隅々に気を配ったスタッフの挑戦を、是非とも映画館で堪能していただきたい。
■公開情報
『名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』
全国東宝系にて公開中
原作:青山剛昌『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:立川譲
脚本:櫻井武晴
音楽:菅野祐悟
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、林原めぐみ、沢村一樹ほか
製作:小学館、読売テレビ、日本テレビ、ShoPro、東宝、トムス・エンタテインメント
配給:東宝
©︎2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
公式サイト:https://www.conan-movie.jp