西野七瀬は“アンニュイな悪役”が上手すぎる 『Dr.チョコレート』渚はスパイなのか?

西野七瀬は“アンニュイな悪役”が上手すぎる

 西野が現在出演している『Dr.チョコレート』は、どんなに難しい手術でも必ず成功させる謎の天才外科医「Dr.チョコレート」こと10歳の少女・寺島唯(白山乃愛)と、彼女の代理人を務める義手の元医者 “Teacher”こと野田哲也(坂口健太郎)が、どんなワケあり患者でも現金1億円とチョコレートの報酬で救う物語。そしてその背景にある、唯の両親とTeacherの利き腕を奪った2年前の爆破事件の真相を追っていく。

 西野演じる奥泉渚は、Dr.チョコレートの正体を追う東都新聞社のエース記者。「Dr.チョコレートはただの都市伝説」と取り合わない上司に楯突き、独自取材を続けていた渚。偶然なのか意図的なのか、Dr.チョコレートとTeacherの2人が搭乗する飛行機に同乗し、機内での出来事がきっかけで知り合う。

 当初は、追う者と追われる者のキャッツアイ的な禁断の愛になるのかと思いきや、初回から早くも正体を明かし、駆け引きが始まる意外な展開だった。表向きにはスクープ欲しさに互いを利用していくうちに、次第に人としてのTeacherに惹かれ、乙女心を垣間見せていくキャラに思える。ただ、西野を配役したことで、そう簡単には進まないはず。

 ファーストコンタクトからいきなり素性をバラし、義手を確認するように手をとって名刺を渡し、その時のちょっとした上目遣いからフランクに会話を始め、「Dr.チョコレート、ご存じですよね?」とかまをかけてくる。否定されると、「そうですかー」と見つめ、「でも運命に感謝します」と笑顔で言い、「じゃあまたー」と素気なく去っていく。初対面の無知を装って、相手の素性を知っていると言わんばかりにグイグイと質問をしてくる、職務質問的な下手から出ているようでマウントをとっているテクニック。もはや自身の可愛さを武器に相手を手玉に取ってやろうという下心さえ感じさせ、宣戦布告前のご挨拶ともとれた。

 また、車内でのやりとりで、Teacherがグッと顔を近づけてきたことで、どこか乙女心が芽生えたような仕草を見せた。ただし『あな番』のイメージがあるだけに、罠にハメたとも思えてくる。その後不敵な笑みを浮かべ1人道を歩くのだが、恋の芽生えなのか、罠にハマって「ざまぁ」と思っているのか、信用のできる人として「仕方ない協力してやるか」と認めた笑みなのか。真意はまだ分からない。

 今作は、西野のヴィランイメージを作り出した『あな番』と同様の秋元康企画・原案のドラマなだけに、敵か味方か分からない存在として、視聴者を惑わすことに成功していると言える。ただ、これまでのヴィラン役を演じる時とは違い、パワフルで、最初からグイグイとくるタイプ。つまり、悪役ではなく、額面通りに仕事熱心な新聞記者なのかも知れない。ただ、そうした無邪気さが逆に魔性を感じさせ、恋愛が発展した時はグッと心を掴まれるだろう。

 とはいえ、爆破事件に関わっている可能性は高く、自分からグイグイ質問するのに、質問されると一気に突き放す姿勢。手にタトゥーをした犯人一味の二重スパイの可能性もあり、今作でも黒幕の可能性だって十分ある。これは西野が演じるからこそ様々な展開が予想され、それだけに面白い俳優になったと改めて感じさせる。物語はまだ始まったばかり。渚がDr.チョコレートを追うように、渚の素顔を追っていきたい。

■放送情報
『Dr.チョコレート』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:坂口健太郎、白山乃愛、西野七瀬、葵わかな、鈴木紗理奈、前田旺志郎、古川雄大、小澤征悦、斉藤由貴ほか
企画・原案:秋元康
脚本:渡辺雄介
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:藤森真実、岩崎広樹、本多繁勝
演出:佐久間紀佳、南雲聖一、宮下直之
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/dr-chocolate/
公式Twitter:@drchocolate_ntv
公式Instagram:@drchocolate_ntv

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