PR案件&映画降板 MCUカーン役ジョナサン・メジャース、逮捕劇の衝撃的な真相とは
2月17日に日本公開された『アントマン&ワスプ:クアントマニア』でヴィランの征服者カーンを演じた俳優ジョナサン・メジャースが、3月25日(現地時間)に逮捕された。3月3日に北米公開されたばかりの出演作『クリード 過去の逆襲』(日本公開は5月26日)でも重要な役割を演じており、評判もよく、まさに絶好調の時に起きた出来事である。逮捕から約1カ月が経ち、続報が次々と出ている中で問題が雪だるま式に膨れ上がっているメジャース。懸念されているマーベル作品の降板も含め、逮捕をめぐって彼の身に何が起きているのか、時系列で順に追っていきたい。
パートナーの女性に暴力をふるったとして逮捕
メジャースは3月25日、ブルックリンのバーを後にしてパートナーと共にタクシーに乗って家に帰ろうとしていた。しかしその車内でメジャースが他の女性とメッセージのやりとりをしていたことがわかり、彼女は彼の携帯電話を見ようとして口論になったという。その後、911(緊急通報用電話番号)の連絡を受け現場に急行したニューヨーク市警察(NYPD)の声明によると、メジャースは彼女の首に手をかけ、“アザとかなりの痛み”を引き起こしたのみならず、顔を殴り、“耳の後ろに裂傷”を与えたと言われている。彼女は病院に緊急搬送された。このため、メジャースは彼女に対する絞殺罪を含むDVの容疑で逮捕されたが、その日の遅くに保護命令で釈放。その後、被害者本人から絞殺罪に関する訴えは取り下げられ、現在は引き続きDV容疑、そして軽犯罪、故意的な(悪質な)ハラスメント、暴行未遂、嫌がらせの罪に問われているそうだ。
本件の一報が出た際、ファンからはメジャースを擁護する声、本件を信じない声が多く上がっていた。なぜならメジャースのパブリックイメージは“温厚で親切”、“地に足のついた俳優”など非常に良いものだったからだ。加えて、彼の代理人や弁護士のプリヤ・チャウドリーは無実を主張し続け、女性が(もともと)精神的にパニック状態だったこと、救急に電話をしたのが女性を心配したメジャース本人だったこと、加えてタクシー車内の防犯用ビデオレコーダーの映像など証拠となるものをマンハッタン地方検事局に提出したと言う。さらに3月30日、担当弁護士・チャウドリーの夫であり、メジャースの危機広報担当であるアンドリュー・ボークは、事件が起きた直後に女性がメジャースに送ったメッセージを公開した。しかし、これが再び波紋を呼ぶことになる。
女性からメジャースに送られたメッセージと世論
メッセージの内容は概ねメジャースを庇い、心配する内容だったが、「彼ら(NYPD)が言うには、私の怪我を見て私たちが喧嘩をしたことがわかったから、決められた手順通りにあなたを逮捕しなければいけなかったみたい。実際に逮捕したことに、私はすごく怒った。そしてこんな立場にさせてしまってごめんなさい。何事も起きないようにするね。警察には私があなたの携帯を掴もうとしたせいだと伝えた。いま病院を出たばかり」「判事にも、もともと911への連絡は私が失神したことでパートナーのあなたが心配してやってくれたことだとも伝えた」などのテキストは、“怪我を負ったこと”、“失神するほどの状態だった”ことを実証するものであり、メジャースの心象を回復するものではなかった。むしろ、「これは典型的にDVを受けている女性の書き方」「意識を失った理由とは」と疑問を抱いた世論はメジャースの容疑を信じる形になり、悪化の一途を辿っている。
I’m just gonna say this about Jonathan Majors and be done with it: folks at Yale and the broader NYC community have known about him for years. He’s a sociopath and abuser and that is how virtually everyone speaks about him. It’s a shame it took this long for him to be reported.
— Tim Nicolai (@tim_nicolai) March 26, 2023
加えて、俳優のティム・ニコライがメジャースの逮捕時にTwitterにて「ジョナサン・メジャースについて言うけど、彼は終わるべき。イェール出身の人やNYCコミュニティの多くの人が彼の正体を何年も前から知っている。彼はソシオパスで虐待者だとみんなが口を揃えて言っている。彼について報道されるのにこれだけの時間がかかったことが残念だ」と証言。その中には「それを知っていてなぜ何もしなかったのかを責める声も聞こえるが、僕たちだってトライした。しかし、最終的には被害者が直接声をあげるしか方法がなかったんだ」「彼は何人もの近しい人物らを直接的に傷つけてきた」などの発言もある。
契約解除と相次ぐ降板
そして4月17日(現地時間)には、メジャースが所属していたタレントプロダクション「Entertainment 360」との契約が解除されたと発表された。加えて3月末には同じくPR会社である「The Lede Company」もメジャースとの契約を解除していたことが明かされた。さらに翌日の4月18日(現地時間)には、メジャースが主演とエグゼクティブ・プロデューサーを務める予定だった『The Man in Basement(原題)』、そしてアメリカのソウルシンガー、オーティス・レディングの伝記映画『Otis and Zelma(原題)』のプロジェクトからそれぞれ外されたことが発表となった。
4月初頭に米陸軍がメジャースを起用していた広告を全て削除したことを皮切りに、ファッションブランド「Valentino」の広告塔として出席するはずだったMet Gala(メットガラ)への不参加、メジャースの故郷であるテキサス州ダラスの野球チーム「テキサス・レンジャース」の2023年広告キャンペーン起用の見送りも決定。現時点で彼に残されたプロジェクトはNBAのデニス・ロッドマン選手を演じる映画『48 Hours in Vegas(原題)』、スパイク・リー監督の最新作『Da Understudy(原題)』、そしてディズニーの傘下であるサーチライト・ピクチャーズによるメジャース主演映画『Magazine Dreams(原題)』である。これらに関しても対応を協議中とのことだが、やはり業界全体がマーベル・スタジオ(ディズニー社)の判断を待っている状況になっている。
相次ぐ降板の中、これまで擁護派の意見も多かったのは、彼女以外に「メジャースから暴力を受けた」と前に進み出る被害者が存在していなかったから。だが、4月19日(現地時間)にVariety誌による独占報道で状況が一変することになる。