『アントマン&ワスプ:クアントマニア』ネタバレ解説 ポストクレジットシーンの意味は?

『アントマン』第3作、完全ネタバレ解説

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします!

 今週は、2024年の配信を目指している、ディズニープラスのドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』に、Netflix版『デアデビル』『パニッシャー』などでパニッシャーを演じたジョン・バーンサルが再び同役で登場! みたいなワクワクするニュースが流れました。また、DCの『シャザム!~神々の怒り~』も全米で高評価! と嬉しい限りです。しかし、いま公開中の『アントマン&ワスプ:クアントマニア』のことも忘れてはいけません! すでに公開から1カ月近く経つので、今回はネタバレ全開で解説します。

あの“カーンたち”の意味は?

 『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は非常に楽しい異世界SFアドベンチャーで素直に楽しめると思うのですが、おなじみのミッドクレジット、そしてポストクレジットシーンで「??」となった方も多いかと思います。また、カーンが今後のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の重要ヴィランであり、次のアベンジャーズにつながる、というふうに言われていますが、どうつながるのかもはっきりしませんよね。

 そこで、今回はその部分を中心に解説いたします。とにかくカーン(演じるのはジョナサン・メジャース)とは一体なんなのか? まずすごく大雑把に言えば、様々な世界/時間軸に様々なカーンがいて、そのカーンたちは連絡を取り合っている、ということです(笑)。この様々な世界/時間軸がパラレルワールド的に存在している状況を“マルチバース”といいます。僕らは1つの歴史の流れ=1つの時間軸に生きているからユニ(1つの=単独)の世界にいる。だから“ユニバース”に生きています。このユニバースがマルチ(複数)あるから“マルチバース”なのです。だから、その世界ごとに“自分”ないし“自分に該当する存在”がいます。

 ちょうどいまアカデミー賞受賞の呼び声が高い『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が公開中です。あの映画もマルチバースがテーマですが、世界ごとに様々なバージョンのミシェル・ヨーが出てきましたよね。あんな感じでカーンもいっぱいいるわけです。ちなみに、今の自分を基準にした時に、別バースにいる“自分”ないし“自分に該当する存在”は自分の変異体=バリアントであるという言い方をします(相手からみれば、こっちが変異体です)。

 通常、別バースの“自分”=バリアントと会うわけはないですが、カーンの場合、それをやってしまう。さらにカーン自身がタイムトラベラーであり、いろいろな時代に現れ干渉する=歴史を書き換えてしまったりするので、その結果複数の時間軸が発生し、複数のカーンを自ら作り出したりもする。なので、カーンはバリアントだらけです。さらに、カーンはバリアント同士=マルチバース上のカーンたちで集まって、彼らなりにマルチバース全体を管理というか支配しようとしています。ところが、あるカーンだけが他のカーンやバースを無き者にして征服しようとたくらんでいた。それで他のカーンたちは、この“危険なカーン”をすべての時間軸の外にある異世界=量子世界に追放していたのでしょう。ところが、この“危険なカーン”がアントマンによって倒されてしまったから慌てたわけです。

“カーンたち”はなぜアベンジャーズたちと戦うのか?

アントマン&ワスプ:クアントマニア

 さらに(ここからは僕の解釈ですが)、そもそもアントマンの仲間であるアベンジャーズたちヒーローは、

  • 『アベンジャーズ/エンドゲーム』における“時間泥棒作戦”で時間軸をひっかきまわしてしまった。これによりロキやガモーラのバリアントも生まれた。
  • 『ワンダヴィジョン』においてワンダがマルチバースに干渉し始めた。
  • 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』において別バースのスパイダーマンやヴィランたちを呼び寄せてしまった。
  • 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』にてバース間の衝突が起こり、片方のバースが消えてしまうという大惨事=“インカージョン”を引き起こそうとしてしまった。

 と、マルチバースに多大なちょっかいを(無意識のうちに)かけている連中なわけです。

 なので、この“カーンたち”が緊急会議を開き、アベンジャーズを排除しようと動き始めたということを示唆しているのでしょう。この会議はCouncil of Kangs(カーン評議会。“Kangs”とカーンの複数形になっているのがポイントです)と呼ばれ、コミックにもこれと同じシーンが出てきます(1988年『アベンジャーズ』誌292号です)。これが2025年の『アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ(原題)』に繋がるんでしょうね。

注目すべき4人のカーン

 このカーン評議会のシーンで注目すべきカーンは4人。まずリーダー的にこの会議全体を仕切っている3人。エジプトのファラオ風のカーンはラマ・トゥットと呼ばれ、30世紀の未来人だったカーンのナサニエル・リチャーズが古代エジプト時代にタイムトラベルし支配者となった姿(コミックでの設定)。

 ハイテクなスーツを着ているカーンは恐らくスカーレット・センチュリオン。ヒーローたちに敗れたラマ・トゥットがヒーローたちに復讐するためより危険なヴィランになった姿(コミックでの設定)。

 神宮のような感じのカーンはイモータス。ある意味すべてのカーンの最終形で全時間軸の監視者になろうとする(コミックでの設定)。

 それに対し、評議会の席ではしゃいでいる(?)カーンは、一番ジョナサン・メジャースとわかる顔ですが、この感じからして恐らく“在り続ける者”。彼は、ドラマ『ロキ』にも登場していました。

 そう、ここでドラマ『ロキ』につながります。それがクレジットが終わった後の最後のおまけシーン。ドラマ『ロキ』においてTVA(時間変異取締局)という組織が出てきます。これを作ったのが “在り続ける者”という未来人なのですが、実はカーンのバリアントの一人なのです。演じているのが今回のカーン役ジョナサン・メジャースなのはそのためです。

 したがってもうすぐ配信の『ロキ』シーズン2はロキたちが時間を旅し、 “在り続ける者”ないしカーンのバリアントと関わっていくことが予想されていたわけですが、それを確信させるシーンでした。このシーンでロキたちが会う“ビクター・タイムリー”なる人物もカーンのバリアントだからです。

 ただしロキは、今回のアントマンたちの冒険を知らないでしょうから、この“ビクター・タイムリー”はあくまで“在り続ける者”のバリアントとして彼の眼には映るでしょうが。

 なお、前述の映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に出ているジョナサン・キー(キー・ホイ・クァンとも呼ばれています)は『ロキ』のシーズン2に出るそうです。マルチバースつながり?(笑)

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