『TOKYO MER』鈴木亮平たちMERチームの使命を再確認 劇場版へ期待抱かせる展開に

『TOKYO MER』チームの使命を再確認

 特注のMERカーや差し替えなしのオペシーン、都市部や山間部など各エリアでの出動を想定したドラマ的リアリティは本作の見どころの一つだが、SPドラマでもロケ地の特性を生かした見せ場が多くあった。レスキュー隊と連携して橋げたへの衝突を回避。橋上から医療資材を投下し、そのまま飛び移るアクションシーンでは、観ているこちらにも同じテンションが乗り移った。レインボーブリッジを映しながら、台場付近の海上を一時封鎖する過去の名作を意識したと思しき描写も見られた。

 「死者ゼロ」という目標の裏には狂おしいほどの願いがあり、何のために救うのかという深遠なテーマが潜んでいる。それらをMERの活躍を軸に、1話完結で提示する本作のスタイルはSPドラマにも貫かれていた。抽象と具象のバランスが良く、見せようとするものがシンプルかつ明快なことが『TOKYO MER』が支持される要因だろう。

 ヒーローが自分の身を省みず人のために危険を冒す人間なら、喜多見たちはヒーローそのものだ。臨機応変な対応が求められる状況では、現場判断を迫られる場面も多い。本作が放送されたのが政府首脳を狙った爆弾事件の直後だったこともあり、瞬時に判断を下す責任の重大さと手際よく処置するMERチームにあらためて驚嘆した。そんな喜多見たちは「みんなの力で命を救ってきたんです」と周囲の協力なくして助けられないことを熟知している。誰もがヒーローであるという結論に着地する彼らはとてつもなく輝いて見えた。

■配信情報
『TOKYO MER~隅田川ミッション~』
TVer、Paraviにて配信中
出演: 鈴木亮平、賀来賢人、中条あやみ、要潤、小手伸也、佐野勇斗、ホアン・ラン・ミン フォンチー、菜々緒、伊藤淳史、鶴見辰吾、橋本さとし、仲里依紗、石田ゆり子
脚本:黒岩勉
監督:松木彩
企画プロデュース:高橋正尚
プロデューサー:八木亜未
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TokyoMER_tbs/

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