『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』北米No.1 『アナ雪2』を超える大ヒット

映画『スーパーマリオ』北米No.1発進

 『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が、全世界興行収入で『アナと雪の女王2』(2019年)を抜いてアニメーション映画の歴代記録を更新した。4月5日に世界各国で公開された本作は、北米のみならず各市場で大ヒット。おそるべき『スーパーマリオ』人気を見せつけた結果だ。

 任天堂の人気ゲーム『スーパーマリオ』シリーズを初めて長編アニメ映画化した本作は、『怪盗グルー』『ミニオンズ』シリーズのイルミネーションが製作を担当。ニューヨークで配管工を営むマリオ&ルイージが魔法の世界に迷い込み、おなじみのキャラクターたちとクッパに立ち向かう。「マリオ」を生んだ宮本茂もプロデューサーとして参加した。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』©2022 Nintendo and Universal Studios

 先述の通り4月5日に北米で公開された本作は、もちろん4月7日~9日の週末興収ランキングでNo.1を獲得。週末3日間で1億4636万ドル、5日間累計で2億462万ドルというロケットスタートを決めた。海外70市場では1億7300万ドルを稼ぎ出し、世界興収は3億7762万ドルに。『アナと雪の女王2』の3億5840万ドルという歴代記録を塗り替えた。

 また、北米では『アントマン&ワスプ:クアントマニア』を抜いて2023年最高のオープニング成績となったほか、5日間の興行成績として『トランスフォーマー/リベンジ』(2009年)の2億ドルを超えて過去最高記録を達成。イルミネーション作品、そしてビデオゲームの映画化作品としても史上最高の滑り出しとなった。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』©2022 Nintendo and Universal Studios

 当初の興行予測では「3日間で8600万ドル、5日間で1億2500万ドル」とみられていた本作だが、事前の動向を鑑みて予測値がどんどん書き換えられ、結果的には予測をはるかに上回るスタートとなっている。製作費は1億ドルだから、もはや黒字化うんぬんという次元ではなく、すでに世界興収10億ドル突破も視野に入っているという。

 近年のハリウッドでゲームの映像化がトレンドになっていることは先週も指摘した通りで、『ソニック・ザ・ムービー』シリーズや『名探偵ピカチュウ』(2019年)、『モータルコンバット』(2021年)、『アンチャーテッド』(2022年)などがこれまでヒットを記録してきたが、本作は『ポケモン』にも勝る『スーパーマリオ』ブランドの強さを改めて印象づけた。

 1985年の誕生から約40年の歴史を持ち、世界的に圧倒的な知名度を誇るマリオは、あらゆる国や地域、世代やジェンダーを超えて人々に愛される数少ないキャラクター。任天堂&イルミネーションのタッグでファミリー層&ヤング層に訴求したことや、クリス・プラット(マリオ役)やアニャ・テイラー=ジョイ(ピーチ役)、ジャック・ブラック(クッパ役)ら豪華声優陣の起用も功を奏したとみられる。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』©2022 Nintendo and Universal Studios

 ちなみに海外市場では、メキシコで2740万ドルというスマッシュヒットとなったほか、イギリスで1960万ドル、ドイツで1400万ドル、中国で1200万ドル、フランスで1040万ドルという好スタートとなった。北米も含めてしばらくはライバル不在とあって、興行成績はまだまだ伸びると思われる。

 もっとも唯一気になるのは批評家の評価で、Rotten Tomatoesでは56%フレッシュと渋めだ。観客スコアは96%、出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」評価とあって、ここまでのヒット作である以上は口コミ効果が批評よりも優勢になることは明白だが、映画としての完成度も大いに重要である。なにしろ『スーパーマリオ』初めてのアニメ映画であり、シリーズ化も見据えるというからには、40年の歴史に恥じない作品、40年後の未来にも残せる作品であるべきだろう。

 監督は『ティーン・タイタンズGO! トゥ・ザ・ムービー』(2018年)のアーロン・ホーヴァス&マイケル・ジェレニック。日本公開は4月28日で、ゴールデンウィークの激戦に勝負を仕掛ける。

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