北米No.1『ダンジョンズ&ドラゴンズ』、コミカルな作劇で高評価 新たな人気シリーズに?

『ダンジョンズ&ドラゴンズ』北米No.1

 世界初のRPGとして知られるゲーム「ダンジョンズ&ドラゴンズ」が、映画でも新たな人気シリーズとなるかもしれない。3月31日〜4月2日の北米週末興行収入ランキングは、映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』がNo.1を獲得。3日間で3850万ドルを記録し、当初の想定を上回るスタートとなった。

 本作は、世界的人気を誇るテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の実写映画版。原作は約50年におよぶ歴史を持ち、幅広い世代に愛されるほか、近年は人気ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』にも登場して若い世代の注目を集めた。

『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』©2022 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, DUNGEONS & DRAGONS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO. ©2022 HASBRO.

 映画版の主人公は、『ワンダーウーマン』シリーズなどで知られるクリス・パイン演じる盗賊・エドガン。亡き妻を生き返らせ、誘拐された娘を取り戻すため、ミシェル・ロドリゲス演じる相棒の戦士・ホルガら仲間を集めてヴィランの陰謀に対峙する……。

 魔法、ドラゴン、クリーチャーてんこ盛りのアクションファンタジーを手がけたのは、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)の脚本家ジョナサン・ゴールドスタイン&ジョン・フランシス・デイリー。監督作には『ゲーム・ナイト』(2018年)などがあるが、小規模のコメディ作品出身とあって、本作のような大作アクション映画には異例の抜擢となった。

 もっとも、この大胆な人選はみごと成功。原作ファンの心をがっちりと掴んだほか、ゲームを知らない観客も親しみやすいコミカルな作劇・演出で高い評価を得た。Rotten Tomatoesでは批評家スコア90%、観客スコア93%を獲得。出口調査に基づくCinemaScoreでは「A-」評価となっている。

『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』©2022 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, DUNGEONS & DRAGONS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO. ©2022 HASBRO.

 製作費は1億5000万ドルと高額だが、こうした高評価と口コミ効果を受け、本作はさらに興行成績を伸ばしていくとみられる。北米初動成績は3850万ドル、海外58市場を含む世界興収は7150万ドルとあって黒字化への道のりはまだ遠いものの、今後は春休みやイースター休暇も控えているのだ。週末の客席は若い男性客が比較的多かったものの、さらに幅広い世代から支持を得ていく可能性は十分にある。

 近年、ハリウッドではゲームの映像化がひとつのトレンドとなっている。『ソニック・ザ・ムービー』シリーズや『名探偵ピカチュウ』(2019年)『モータルコンバット』(2021年)『アンチャーテッド』(2022年)はいずれもヒットし、テレビドラマ『THE LAST OF US』(2022年~)も大絶賛・大人気のうちにシーズン1を終了した。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』はビデオゲーム原作でこそないが、一連の作品と同じ流れの中にあることは明らかだ。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』©2022 Nintendo and Universal Studios

 それだけに目下のライバルは、いよいよ4月5日に北米公開となる『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』だ。『ミニオンズ』シリーズのイルミネーションが「スーパーマリオ」を史上初の長編アニメ化、しかも豪華ボイスキャストが集まって話題性は抜群。初動成績1億2500万ドル級(5日間)の大ヒットが予測されている。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』が正面から戦える相手ではないため、今後は『マリオ』人気の中でいかに支持を広げ、作品のポテンシャルを発揮していくかが課題となるだろう。

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