花澤香菜になぜ特別な存在感を感じるのか? 『鬼滅の刃』甘露寺蜜璃役にも表れる“持ち味”

花澤香菜、甘露寺蜜璃役にも表れる“持ち味”

 代表作と呼べる作品を数多く持つ花澤香菜だが、近年演じた役柄でもっとも衝撃を与えたのは、2021年に公開された映画『劇場版 呪術廻戦 0』の祈本里香だろう。特級過呪怨霊というおどろおどろしい容姿で、原作コミックでも濁点だらけで発音不可能と思われた台詞を、見事に声で表現してみせた。思い切りよく振り切った演技は彼女の長所で、『ぽかぽか』の生アフレココーナーでも、突然豹変する演技を披露して共演者や視聴者をたびたび驚かせている。

 そして、今もっとも期待が高まっているのが、『鬼滅の刃』の甘露寺蜜璃役だ。普段は乙女チックにキャピキャピとした甘露寺だが、癒やしのフワフワボイスだけでなく、柱としての強さや竈門兄妹を見守る包容力、優しさ、戦闘中の呼吸など、実に多面的な表情を見せてくれる役柄だ。これまでの経験をすべて費やし、どんな声でどんな風に演じてくれるのか、実に楽しみなところ。竈門炭治郎役の花江夏樹とは『東京喰種トーキョーグール』など共演作品も多く、気心の知れた間柄でもあり、『刀鍛冶の里編』では、どんな息の合ったやりとりを見せてくれるのかにも注目だ。

 俳優に求められるものが演技力と容姿とするならば、声のみで演技をする声優にとって容姿に相当するものは声質ということになるだろう。花澤香菜を代えが利かない絶対的な存在にしているのは、唯一無二のフワフワボイスを持っているからだけではなく、そこに高度な演技力が伴っているからだ。彼女の演技に対する情熱を語る上での有名なエピソードとして、主人公・天野遠子を演じた『文学少女』のオーディションの話が有名だ。主人公が読み終えた本を食べてしまうキャラクターだったため、オーディション前にトイレで実際に台本を破って食べて感覚をつかんだという。これはきっとハリウッド俳優が役柄に合わせて体型を自在に変えたり、役柄に合わせて様々なトレーニングを積んで撮影に臨むのと同じことなのかもしれない。そうした様々な経験によって、作品に合わせて変幻自在に声を操る花澤香菜は、まさしく声の魔術師だ。

■公開情報
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』
全国公開中
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
出演:花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、小西克幸、河西健吾、花澤香菜、関俊彦、置鮎龍太郎、宮野真守、石田彰、古川登志夫、鳥海浩輔、沢城みゆき、逢坂良太
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト:https://kimetsu.com/anime/
公式Twitter:https://twitter.com/kimetsu_off

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