ひたむきな役柄が似合う葵わかな 『キッチン革命』『Dr.チョコレート』の演じ分けにも期待

葵わかなにはひたむきな役柄が似合う

 食にまつわる革命で日本を変えた2人の女性の物語が描かれる2夜連続スペシャルドラマ 『キッチン革命』(テレビ朝日系)。3月25日放送の第1夜の主演・葵わかなが演じるのは、計量カップや計量スプーンを生み出し、レシピの原型になる料理カードを作った女性医師・香美綾子だ。男尊女卑の時代に、医学の世界に飛び込み予防医学、栄養学の観点から、誰もがおいしくて栄養のある料理を作ることができるよう、その数値化に挑んだ綾子のひたむきで真っ直ぐで芯のある姿は葵ともリンクしそうだ。

 葵といえば、連続テレビ小説『わろてんか』(NHK総合)でも“笑い”をビジネスにした日本初の女性と言われている吉本興業の創業者・吉本せいをモデルとしたヒロイン・藤岡てん役を好演した。葵は純度の高い理想や目標を持ち、だからこそ時折周囲からすれば突拍子もないように見えることもひょいとできてしまう大胆さと、それでも許されてしまう愛嬌を持ち合わせた役どころが似合う。

 また『三千円の使いかた』(東海テレビ・フジテレビ系)では主人公の御厨美帆役を演じ、ちょっぴりミーハーな会社員が節約に目覚め、生き方を見つめ直していく過程や家族のトラブルに向き合っていくさまを体現した。要領が良いわけでもない美帆が女性の生き方にまつわる綺麗事だけではない“あるある”な悩みにぶつかり迷い、皆と同じように揺れ動きながら少しずつ変わっていく様子がリアルだった。

 なかなか日常生活においては劇的な変化に見舞われることの方が稀で、通常は必要に応じて、環境の変化なども相まって徐々に徐々に変化が生まれたり、かと思いきやまた振り出しに戻ってしまったり立ち止まったりしながらも日々を営んでいくものだろう。そんな日常に満足しきっているわけでもないけれど、悪くもないままならない日々を一生懸命見つめながら過ごすいち生活者としての姿を実直に見せてくれた。ちなみに本作第1話冒頭では歌って踊る葵のチャーミングな姿が見られ、ミュージカルでも活躍する彼女だからこその演出が光っていた。

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