『舞いあがれ！』貴司「もうこういう歌は詠めません」　赤楚衛二の曇った面持ち

海底の砂に手差して冷たさにしびれた指を水でぬくめる

祥子ばんばお気に入りの、貴司くんの短歌です。#高畑淳子 #朝ドラ #舞いあがれ #短歌 #貴司の短歌 pic.twitter.com/d3zMYnJ2Pi

— 朝ドラ｢舞いあがれ！｣ (@asadora_bk_nhk) March 22, 2023

＜海底の砂に手差して冷たさにしびれた指を水でぬくめる＞

　祥子はおおらかな声色で貴司の歌を詠む。祥子が純粋に心打たれている姿とは裏腹に、自身の歌に耳を傾ける貴司の表情は暗かった。「『ぬくめる』っちゅう平仮名や、こげん温かいとねえ」と感心する祥子に、貴司は「ありがとうございます」と微笑むのだが、その声に力がない。貴司は「もう、こういう歌は詠めません」とつぶやいた。

「自分で詠んだ歌やのに、今見たら、すごい遠いことみたいに思います」
「難しか。そういうもんね？」と返す祥子だが、その場を去っていく貴司を心配そうな顔で見つめていたのが心に残る。

　貴司は思いを言葉にすることが苦手なわけではない。けれど、人に寄り添う優しさを自分自身にはあまり向けていない印象がある。思うように短歌が詠めない苦しみは貴司にしか分からないことかもしれないが、苦しいという正直な気持ちをもう少し舞や祥子に打ち明けてもいいのではないだろうか。物語終盤、舞に届いたメールの文面を見る限り、短歌を詠むために1人、「デラシネ」にこもっていることがうかがえる。つぶれてしまわないか心配だ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ！』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
出演：福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作：桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽：富貴晴美
主題歌：back number 「アイラブユー」
制作統括：熊野律時、管原浩
プロデューサー：上杉忠嗣
演出：田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地：東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供＝NHK