『相棒』寺脇康文の亀山はやっぱり最高! Season21の大活躍を振り返る

『相棒』寺脇康文の亀山はやっぱり最高

 『相棒 Season21』(テレビ朝日系)が3月15日の放送でついに最終回を迎える。

 今シーズンの最大の見どころは『Season7』でシリーズを“卒業”した初代相棒・亀山(寺脇康文)がなんと5代目の相棒となったことだ。

 亀山といえば、考えるより先に身体が動いてしまう行動派。そもそも特命係になったきっかけも、捜査一課にいた頃、指名手配犯を捕まえようとして逆に人質にされ、その一部始終がテレビで放送されるという失態を犯してしまったからだった。その猪突猛進さと右京(水谷豊)の沈着冷静さが次第に噛み合うようになり、ふたりは名コンビに。その後、亀山は、ある事件で殺された親友の意思を継ぎ、彼が活動していた国・サルウィンで、子供たちに正義の精神を教えたいと旅立って行った。その時もいつの間にか情熱的な性格に優しさが備わった亀山の人間性に惚れ惚れしたのだが、『Season21』でサルウィンから帰ってきた彼は、さらに“いい男”となっていた。

 お馴染みのグリーンのフライトジャケットを羽織った亀山は、14年前とほとんど変わらないように見える。だが第12話では、ぽっちゃりした体型の怪しい男を急いで捕まえようと全力疾走するが取り逃してしまった。右京が笑いながらも「昔の君なら追いついたんじゃないですか?」と言っていた通り、以前の亀山なら余裕で追いつけただろう。やはり体力は衰えているようだ。でも、有り余る情熱は健在。昔から犯人の気持ちに寄り添うことで自白をさせたり、場合によっては自首を促したりすることで右京をサポートしていた亀山。『Season21』では亀山の持つ情熱がすべて彼の言葉に詰まっている。

 元日スペシャルでは、3代続く国会議員の家に生まれ、議員秘書となり、自身も国会議員を目指す青年に「汚れなきゃ出世できないのが政界の現実かもしれないけど、理想で現実に立ち向かってくれ」と励ましの声をかけている。また、第19話では山間を走るバスに爆弾を持って乗り込み、乗客を巻き込んで自殺を図ろうとしていた少年に、「俺は、サルウィンっていう国にいて……」と自分の見てきたことや経験、思いを語り、少年を思いとどまらせた。それは右京も初めて聞く内容で、内心驚いていたようだったが、亀山の話を聞いている顔は部下の成長を喜んでいるような、とても穏やかな顔だった。

 亀山が復帰して良かったと思える点はたくさんあるが、ストーリーの中に懐かしいネタや映像が織り込まれることが増えたのもそのひとつである。元日スペシャルでは、右京が中学生のころ書いたミステリー小説『亡霊たちの咆哮』が出てきたのだが、『Season4』で亀山は、この小説をきっかけに事件に巻き込まれ、誘拐されてしまう。当時の映像が流れる形でそれを思い出した亀山は、苦笑いの顔を見せた。この映像が若干粗く、『相棒』シリーズの長さを物語っていたのも素晴らしかった。

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