FACETASM 落合宏理、ファッション界の“レジェンド”アンドレ・レオン・タリーを語る
人種の壁にもがいていたというタリー。日本人として海外に出たときに壁を感じることはあるかと問われた落合は、「デビューしてすぐに、KOCHÉ(コシェ)っていうブランドのデザイナーのクリステル(・コーシェ)と喋る機会があって、『宏理は日本人でいいよね』っていう話をしてくれて。COMME des GARCONS(コム・デ・ギャルソン)、Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)、UNDERCOVER(アンダーカバー)、sacaiなど、日本のデザイナーの先駆者がたくさんいるので、日本人のデザイナーがデビューしたっていうだけで見てくれる。クリステルはパリの人なんだけど、『パリの私は見向きもされない』って言われて。それは逆に僕らが与えられたチャンスなのかなって。だから壁っていうよりかは、日本人がデザイナーとしてやれることっていうのは世界でもあるんだと認識しました」と話し、むしろ可能性を感じたというエピソードを披露。
終盤には、会場に集まった学生を中心とした観客からのQ&Aコーナーも。「今デザインをする上で大切にしていること、大事にしたいと思っていることは?」という質問が飛ぶと、落合は「ブランドが16年目になるんですけど、やり続けなきゃいけないこととか、常に新しいものを作り上げなきゃいけないんだけど、過去に自分が出したものもちゃんと大切にしたいなと最近思っていて。進化はしないといけないんだけど、自分自身が持っていた初期衝動とかそのときの思いを大切にして、これから先のデザインをやっていきたいなと思っていて。別にそれは過去にやったデザインをするわけではなくて、気持ちの問題なんですけど、自分が今までやってきたことを振り返って、感情とかでなくなってしまっている部分はないか、ということは最近ちょっと考え始めてます」と回答。最後に落合は、「まだまだ僕もファッションをやっているので、いつか一緒に何かできたら嬉しいです。ありがとうございました」と学生たちにメッセージを送った。
■公開情報
『アンドレ・レオン・タリー 美学の追求者』
3月17日(金)Bunkamura ル・シネマにて公開
監督:ケイト・ノヴァック
製作:アンドリュー・ロッシ
出演:アンドレ・レオン・タリー、アナ・ウィンター、トム・フォード、マーク・ジェイコブス、イヴ・サンローラン、カール・ラガーフェルド、ノーマ・カマリ、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、ウーピー・ゴールドバーグ、イザベラ・ロッセリーニ、ウィル・アイ・アム(ブラック・アイド・ピーズ)、ラルフ・ルッチ、サンドラ・バーンハード、マノロ・ブラニク、アンドレ・ウォーカーほか
提供・配給:リージェンツ
2017/アメリカ/93分/英題:The Gospel According to André/日本語字幕:柏野文映
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