『舞いあがれ!』桑原亮子が最も書きやすかったキャラは? 横山裕が作り上げた悠人の魅力

『舞いあがれ!』横山裕が作り上げた悠人

 連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)の第23週となる「飛躍のチャンス」が放送された。舞(福原遥)は御園(山口紗弥加)と共に「こんねくと」を設立。東大阪の町工場ならではの製品を届けようと奮闘する。時を同じくして幼なじみの久留美(山下美月)も新たな夢を膨らませていた。それはフライトナースとして救命救急の看護を極めたいというものだった。だが久留美は、なかなか踏み出せないでいた。なぜなら夢の実現のためには、ドクターヘリのある長崎の病院に移らなければならなかったから。久留美は父の佳晴(松尾諭)を一人残し、大阪を出ることを戸惑っていたのだ。

 その久留美の背中を押したのが悠人(横山裕)である。かつて、悠人は雨に打たれ倒れているところを佳晴に助けられた。定職にもつかず心許ない父親・佳晴は、久留美に支えられながら暮らしていた。その佳晴は悠人にとっての恩人でもあるのだ。2人は今や、飲みに行く仲となり、悠人が佳晴の恋の相談相手になることも。そんな佳晴と悠人は、台風の晩も一緒に飲んでいた。酔っぱらった佳晴を家まで送り届けた悠人は、そのまま久留美の話を聞くことになる。

 “父と子”という視点では、悠人にも様々な背景があった。浩太(高橋克典)とは言い争ったまま永遠の別れを迎えることになってしまった悠人。だが、父の残した“歩みノート”を読むことで父が悠人の才能や努力を認めていたことや、悠人自身を理解しようとがんばってくれていたことを知った。父親との様々な葛藤を乗り越え父の気持ちを理解した悠人だからこそ、久留美への言葉が深い意味のあるものとして心に響く。浩太が“歩みノート”に記していた「悠人の夢が僕には分れへん。けどいつか分かりたい。そのためにも僕は自分の夢を捨てたらあかんのや。悠人にも胸張れるように踏ん張らなあかん」という言葉は、悠人が久留美の背中を押した「子供が頑張ってたら、おやじも頑張れんねん。離れたら離れるだけ強くなる。心も絆も」という言葉とも通じる部分がある。

 小さいころから手がかからず、そつなくいろんなことをこなすがゆえに人との距離ができてしまいがちな悠人と、面倒見がよく自分が「やってあげる側」になってしまう久留美にはどこか共通する部分も。上手く人に甘えられない2人だからこそ、悠人と久留美は親近感を持って心を開きあえるのだ。そしてどこか似ている2人だからこそ、悠人の言葉は深く久留美の心に響くのだろう。

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