草彅剛主演『罠の戦争』が持つ重層的な構図　鷲津と鶴巻のバトルに竜崎、鷹野も参戦

「鷲津を潰せ」

　3月6日放送の『罠の戦争』（カンテレ・フジテレビ系）第8話は、鷲津（草彅剛）包囲網が張りめぐらされた。泰生（白鳥晴都）を歩道橋から突き落としたのが、鴨井厚生労働大臣（片平なぎさ）の息子・文哉（味方良介）だと告発したことで、鷲津は鶴巻幹事長（岸部一徳）を敵に回すことになった。鶴巻は副幹事長の鷹野（小澤征悦）に鷲津を潰すよう命じる。

　潰される前に相手の力を奪う。鶴巻は総選挙の時に鷲津が地元市議会のドンである馬場（諏訪太朗）に金を渡したことを表ざたにしようとしており、そうなれば鷲津は選挙違反で議員の座を追われる。鶴巻の弱みを探る鷲津は、鷹野からの情報提供を受けてIT大手デジタルアンツの蟻田会長（大場泰正）に狙いを定めた。

　同じ頃、泰生は長い眠りから目覚めた。久しぶりの親子の会話で言葉にならない感情があふれ出る。ここでドラマが終わるならハッピーエンドだが、一度開けてしまった地獄の釜の蓋は簡単に閉じない。鷲津が引き起こした罠の戦争は、さらに錯綜した事態を招くことになった。

　第8話のメインは鷲津と鶴巻の攻防だが、並行していくつかの関連するトピックがあった。鷹野が敵か味方かという問題は常に議論の的になっており、眞人（杉野遥亮）が疑問に思うのも当然といえば当然だ。鷲津と旧知の仲という以外に、鷹野が口にする「派閥政治をなくす」という目標も観念的で釈然としない。鷹野は鷲津に同調することで視聴者の疑念を払しょくしたが、それでもまだ違和感は残る。

　実力者の竜崎総理（高橋克典）も動きを見せる。鶴巻と対立する竜崎は鷲津の近況を把握し、ぶら下がり取材で記者に漏らしてから「政治が警察の捜査に口を挟むなんてあってはならない」と鶴巻を暗に牽制。鷲津からすると竜崎に使われた格好だが、総理大臣の影響力は絶大で、反響を受けて可南子（井川遥）はインタビュー動画を公開する。それを観たある人物が可南子のもとを訪れた。

　ゴルフ場に潜入した梨恵（小野花梨）と眞人は、蟻田が鶴巻の次男の紀次（尾関伸次）と一緒にいるところを目撃。近くIT業界に有利な独禁法の改正案が成立する予定で、蟻田が紀次を介して有利に取り計らうように鶴巻に依頼していると考えられた。梨恵たちは、蟻田の通話を盗み聞きし、近い将来、デジタルアンツがリストラを行う予定という情報を持ち帰る。