『舞いあがれ!』永作博美の瞳が表現するめぐみの覚悟 “後継者”に選ばれた章の決断は?

『舞いあがれ!』永作博美が決めた覚悟

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第114話では、めぐみ(永作博美)と舞(福原遥)が東大阪に戻る。祥子(高畑淳子)を心配するめぐみだが、祥子は島に残りたがっている。東大阪では、貴司(赤楚衛二)が歩と一緒に2人の帰りを待っていた。めぐみと舞、貴司と歩のあたたかなやりとりの後に映し出されたのは、入院先で1人、食事をとる祥子の姿だ。壊れてしまったラジオを見つめる祥子の寂しげな表情が心苦しい。

 めぐみは、舞と貴司、勝(山口智充)と雪乃(くわばたりえ)に「(祥子が)退院したら、ここで一緒に暮らしたいと思ってんねんけど」と伝えた。祥子のことを考えるめぐみの眼差しからは、祥子を1人にしたくない思いがひしひしと伝わってくる。舞も貴司も、雪乃も、めぐみの考えに肯定的だが、勝だけが険しい顔つきで話を聞いていた。「そんな簡単に背中は押されへん」と話す勝は、決してめぐみの考えを否定しているわけではない。だが、めぐみには社長としての仕事が、舞と貴司にも、自分たち夫婦にも仕事がある。

「子育てはだんだん楽なっていくけど、介護はその逆やねんて」

 祥子を迎え入れることに反対しているわけではないが、勝は「うめづ」にやってくるお客を通じて介護の厳しさを知り、それを伝えたかったのだ。勝の言わんとするところはしっかりとめぐみに届き、めぐみは大きなため息をついた。

 めぐみは浩太(高橋克典)亡き後、重大な決断を迫られる場面が多かった。その度、覚悟をもって決断してきためぐみだが、「ありがとう。ほんまその通りやわ。もっとよう考えてみます」と答える表情や、夜、浩太の写真をじっと見つめる表情から、これまで以上に悩んでいることが分かる。簡単に天秤にかけられるものではないが、めぐみにとってIWAKURAも祥子もかけがえのない大切なものだ。

 皆でばんばを支えたいという舞と貴司の言葉を聞き、めぐみは安堵したように微笑む。その上で「その前にな、ちょっと聞いてくれるか。お母ちゃんの覚悟の話やねん」と発した。息を大きく吸って、言葉を発しためぐみの顔つきにもう迷いはない。

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