『舞いあがれ!』舞は旅客機から町工場のパイロットへ 東大阪の人々に“未来”を届ける
早速、舞は小堺に金網の製造を活かした新たな商品を作ってみてはどうかと提案する。そんな思いつき……と思うかもしれないが、実はそこまで的を外したアドバイスではない。
昨年、舞を演じる福原は漫才コンビ・中川家とすっちーがあらゆる町工場を見学する番組『探検ファクトリー』(NHK総合)にゲスト出演し、金網工場を訪れたのだが、その回がちょうど先日再放送されたばかり。そこで言われていたことだが、実は東大阪では明治時代から金網が地場産業として定着しているそう。番組ではそんな金網業界全体の新しい道を模索し、形状を加工できるひし形金網のしなやかさや、細かい網目を作る高い技術力を応用した様々な商品を製造する工場が取り上げられた。
一方、これまで下請け専門でやってきた小堺は売れるかどうかわからない商品を作る余裕はないと言い張る。だが、別の工場を営む曽根(井之上チャル)の言う通り、このまま何もしなければ会社は潰れるだけ。この身動きが取れない状況から舞は小堺を救い出そうとしている。苦しんでいる人を見捨てられないのが舞の性分なんだろう。そんな舞を見て、航空学校の面接試験で彼女が語っていた「たくさんの人のいろんな思いを乗せて空を飛ぶパイロットになりたい」という言葉が思い出された。旅客機のパイロットにはなれなかったが、舞はいま、小堺を含め町工場で働く人たちを明るい未来へ届けるべくコックピットに座る。
かたや、編集者の北條(川島潤哉)から、日本中を旅しながら子供たちに短歌を教え、そして自分も旅先で短歌も詠むという企画を提案される貴司。だが、旅に出ている間は家に帰れないのはもちろん、デラシネも休業せざるを得ないことに貴司はためらう。なぜなら、かつての自分のようにデラシネを心の拠り所にする中学生の“大ちゃん”こと、大樹(中須翔真)がいるからだ。八木(又吉直樹)がここを締め、突然放浪の旅に出た時の心細さを知っているだけに貴司は決断しがたいのだろう。
町工場と短歌界。それぞれの道を背負って立つ若き二人の、約1カ月先の最終回に向けたラストフライトがいよいよ始まりそうだ。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
2022年10月3日(月)から 2023年4月1日(土)まで
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK