『舞いあがれ!』舞は旅客機から町工場のパイロットへ 東大阪の人々に“未来”を届ける
「スクラムを組めんのはな、体力のあるゴツい奴らだけや」
東大阪の町工場と近隣住民を繋ぐために、舞(福原遥)が企画した第1回オープンファクトリーは大成功に終わった。各工場で部品を作った模型飛行機を通じ、子供から大人まで多くの人にものづくりの良さを知ってもらえたことで社長たちも大いに刺激を受けた様子。
一方で、中にはイベントに参加するだけの余裕がない工場も存在する。そういう陽の当たらない場所から目を背け、めでたしめでたしで終わらせないのがこのドラマの良いところだ。『舞いあがれ!』(NHK総合)第22週が幕を開け、東大阪がものづくりの町であり続けるための新たな課題が浮上した。
オープンファクトリーの成功を祝し、お馴染みの「うめづ」で町工場の社長たちとの宴に酔いしれる舞。みんなで次回はもっとパワーアップしたイベントにしようと盛り上がる中、たまたまその場に居合わせたとある町工場の社長・小堺(三谷昌登)が酒に酔った勢いで舞たちに難癖をつける。
小堺の会社は金網の製造業。学校や野球場など、あらゆる場所で見かけるネットフェンス=ひし形金網を作っているが、近年は需要が減った上に大手に仕事を取られ、経営状況が悪化しているようだ。そんな小堺が「東大阪の町工場がスクラムを組む」という貴司(赤楚衛二)考案のスローガンにこぼしたのが冒頭のセリフ。模型飛行機を一瞬壊そうとして、留まったところを見ると、小堺は誰よりものづくりを愛する人間なのだろう。本当なら自分もイベントに参加したかったという叫びが肩を落とす小堺の姿から聞こえてくるようだった。
どこにぶつけていいかわからない怒りや悔しさを持て余す小堺に、舞はリーマンショックによる打撃に喘いでいた父・浩太(高橋克典)の姿を重ねる。どうにか力になれないか、舞はIWAKURAの取引先である大洋製鋼の堤(西森洋一)に助言を仰ぐ。堤曰く、使い道が限られている金網の工場は続々と廃業しているそう。「大手からの注文なくなったら売りたくても売られへんのですわ」とぼやく堤に、「そやったら新しい使い道を考えられたらいいんですよね」と前向きな言葉を返すのが舞だ。