『どうする家康』松本潤の涙に表現された家康の後悔 ラストには“別人”のような本多正信も

『どうする家康』まさかの“裏切り者”

 民に見放された家康は死を覚悟した。しかし長吉は家康を見放さなかった。長吉に助けられたとき、家康の目が驚きで瞬いた。家康は目を潤ませながら自身に覆い被さってきた長吉を見つめ、弱々しく彼の名を呼んだ。長吉は最期まで家康の身を案じていた。家康は自身が民に生かされたことを思い知らされたはずだ。長吉の死を前に、自分の至らなさに顔を歪め、涙を流す家康の表情が心に残る。

 裏切り者はまだ近しい家臣の中にいる。長吉が最後に残した言葉が、家康に疑心を抱かせた。心配する家臣たちを前に家康は怯えるが、本證寺に忍び込んでいた服部半蔵(山田孝之)が裏切り者の正体を告げる。

 一向宗側の軍師は本多正信(松山ケンイチ)だった。物語の終わり、家康を撃ち抜いたのも正信だったことが明かされる。正信は口ばかりでいい加減な行動が多いことから、家臣たちからは「臆病者のイカサマ師」と呼ばれている。一向宗との戦いに限らず、戦いを前にすると「どうにもこうにも足の具合がよくなくて……」など、さまざまな理由をつけては戦場から逃げ出してきた。しかし家康を狙う正信の眼差しは、いい加減にも臆病にも見えない。長吉のような迷いも感じられないほど、まっすぐな目で家康を捉えていた。真っ向から家康を捉える正信の眼差しに応えるように、家康もまたまっすぐ前を見据えていた。正信の裏切りを知り、その場に立ち尽くす家康の見開いた目からは涙が溢れ出しそうになっていた。

 正信の真意は次週に持ち越される。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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