『孤独のグルメ』原作・久住昌之が語る“変わらない魅力” 「街の繋がりを描いている」

『孤独のグルメ』原作・久住昌之が語る魅力

 3月24日にBlu-ray BOX&DVD BOXが発売される『孤独のグルメ Season10』。音声特典となる『Season1』第1話のオーディオコメンタリー収録が行われ、原作・音楽の久住昌之、脚本の田口佳宏、プロデューサーの吉見健士が参加した。

 原作・久住昌之、画・谷口ジローの同名人気コミックをドラマ化した『孤独のグルメ』は、輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎(松重豊)が営業先で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、食べたいものを自由に食すグルメドキュメンタリードラマ。2022年に放送された『Season10』で、記念すべきシリーズ10周年を迎えた。

 映像がスタートしてすぐ、門前仲町を歩く五郎の背景に聴こえるのは『松重“五郎”豊のテーマ』としておなじみの「『Stay Alone』。ドラマの撮影は2011年12月に行われたが、『Stay Alone』のレコーディングも同月初旬だったといいい、作曲を担当した久住は「冒頭の歩きに合わせてリズムを作った」と懐かしむ。

 その後も、映像に合わせて思い思いに当時を振り返りながら、和やかな雰囲気でコメンタリー収録は進んでいく。原作を交えたオープニングシーンが流れると、久住は「このテーマもギリギリに作ったからね」と切り出し、「“何が始まるんだろう”っていう感じがあったほうがいいなと思った」と曲に込めた思いを吐露。オープニング映像に原作漫画を使用するのは吉見のこだわりだったそうで、吉見は「(実写と)漫画をリンクさせる。ハードボイルドっていう感じの世界観が好きだったから」とその理由を説明した。

 五郎がアーリーアメリカンテイストの店を訪ねるシーンでは、「(五郎が)輸入雑貨商というのは、どういうイメージで?」と吉見が久住に質問を。久住は「どこでも行ける人、いろんなところに行く可能性のある人」とその条件を述べ、「編集者の知り合いに個人輸入業者がいたんですよね」と回顧。さらにコメンタリーでは、その人物と五郎の違いについても明かしている。

 もちろん、五郎の食事シーンでも3人の会話は大盛り上がり。第1回目のロケ地となったのは、Season1~7の演出を担った溝口憲司監督の行きつけの店、やきとり「庄助」。実は、ドラマの打ち合わせもこの店の2階で行われたそうで、ジョークを交えて当時の様子を楽しげに語り合った。

 映像を追いながら、ところどころで「手探りな感じがするね~」と談笑するなど、これまでシリーズを作り続けてきた3人の飾らない言葉が聞けるのもコメンタリーならでは。一方で、通称“孤独カット”と呼ばれる、五郎が「腹が減った」とつぶやいた際に、カメラが徐々に引いていく演出が生まれるまでの経緯や、狭い店内での撮影時の工夫、メニュー選びに対する本音など、ここでしか聞けない裏話も必聴だ。

 収録を終えた吉見は、「僕は『孤独のグルメ』も久住さんも大好で、2年越しの企画をテレビ東京さんのおかげでやっと成立させることができて。少人数のスタッフみんなで『どうやって遊ぼうか』と、本当に久住さんの精神で番組を作った感じです。それがまさか、こんなにシーズンが続くとは思いませんでしたが、あらためてこの手作り感が好きだし、楽しいな、懐かしいなと思いました」とコメント。

 田口も「やっぱり手探りで作ったのをすごく思い出すんですよね。溝口監督と、門前仲町を『どうしたもんだ』と歩き回ったのが忘れられない」と共感し、「とはいえ最初から“孤独カット”だったり、グルメの撮り方だったり、『孤独のグルメ』の世界観が出来上がっているのがすごいなと思いました」と素直な思いを述べる。

 また、『Season1』から五郎を演じ続ける松重について、久住は「グルメ番組みたいに『うまい!』みたいのが全然ない。クールなところに孤独感が出ているんだけど、それが寂しい孤独ではなくて、1人で美味しく食べている孤独。漫画にもあった雰囲気を、松重さんが最初からやってくれている」と感謝。田口も「モノローグで進行するドラマなので、それにピタッと合わせるのがすごいなと。それに、ひとり芝居で街を歩くときの歩き方、立ち姿もすごくカッコいいんですよね」と絶賛した。

 さらに吉見からは、「1個だけ自慢なのが、お店からのクレームが1回もないこと。常に『やらせてください』という姿勢でやってきたことが、結果的に長続きになっているのかなと思うので、この精神を忘れずに、また次のシーズンも重ねていけたら」と、次回作への期待が高まる発言も。

 最後に久住は、「僕は食べ物、お店、お店の人、お客さん、その周りの街っていうのは、全部繋がってると思っていて。その繋がりを描いているのが『孤独のグルメ』のいいところだと思うし、それは今も変わっていない。そこを見てほしいですね」と呼びかけ、締めくくった。

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■リリース情報
『孤独のグルメ Season10』
3月24日(金)Blu-ray&DVD発売
●Blu-ray-BOX(本編Blu-ray3枚+『孤独のグルメ 2021大晦日スベシャル & 2022大晦日スベシャル』1枚+特典Blu-ray1枚/全5枚組)
価格:21,450円(税別)

●DVD-BOX(本編DVD3枚組+『孤独のグルメ 2021大晦日スベシャル & 2022大晦日スベシャル』1枚+特典DVD1枚/全5枚組)
価格:16,500円(税別)

【封入特典】 
「孤独のグルメ Season10」BOOK

【特典映像】
・ドキュメント24時間~孤独のグルメはこうして作られる~(仮)
・孤独のグルメ Season10メイキング
・すべてはここから始まった~Season1 第1話オーディオコメンタリー~(仮)
・孤独のグルメ Season10 ネ申台詞集
・スポット集
※収録内容、仕様等は予告なく変更になる場合があります。

主演:松重豊
出演:久住昌之(ふらっとQUSUMI)
原作:『孤独のグルメ』作・久住昌之/画・谷口ジロー(週刊SPA!)
脚本:田口佳宏、児玉頼子
音楽:久住昌之、ザ・スクリーントーンズ
演出:井川尊史、北畑龍一、佐々木豪、中山大暉
チーフプロデューサー:祖父江里奈(テレビ東京)
プロデューサー:小松幸敏(テレビ東京)、吉見健士(共同テレビ)、北尾賢人(共同テレビ)
制作協力:共同テレビジョン
製作著作:テレビ東京
発売元:テレビ東京
販売元:ポニーキャニオン
©2022久住昌之・谷口ジロー・fusosha/テレビ東京

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