『タイタニック』VS『アバター:WoW』世紀の決戦 キャメロン作品が世界興収3位を争う

『アバター』VS『タイタニック』世紀の決戦

 ジェームズ・キャメロン監督の最新作と、25年前の代表作が真っ向から対決した。2月10日~12日の北米映画興行収入ランキングは、第2位に『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が、第3位に『タイタニック』(1997年)がランクイン。しかも世界興収の歴代No.3をめぐる争いとなった。

 『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は北米にて週末3日間で688万ドルを記録し、北米興行収入6億4691万ドル、世界興収22億1309万ドルに。本来ならばこの週末に世界興収の歴代No.3を獲得するはずだったが、これを防いだのが『タイタニック』の再上映だった。

 レオナルド・ディカプリオ&ケイト・ウインスレット主演による1997年のメガヒット作、『タイタニック』が公開25周年を記念して3Dリマスター版として甦った。日本でも『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』として公開された新バージョンは、北米にて3日間で640万ドルを獲得。『タイタニック』というタイトルとしては世界興収22億1699万ドルとなり、歴代第3位を死守した。もっとも、これら2作の金額差はわずか390万ドル。いずれにせよ、まもなく記録が塗り替えられることは間違いない。

 現在の歴代世界興収記録は、第1位が『アバター』(2009年)の29億2370万ドル、第2位が『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)の27億9943万ドル。したがって歴代トップ4のうち3作品がジェームズ・キャメロン作品なのだが、それにしても、ひとりの監督の新旧代表作が世界の映画館で相まみえ、しかも興収記録を争うことはめったにない。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』©︎2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 北米を除く海外市場で、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が優れた結果を示しているのは、中国(2億4260万ドル)、フランス(1億4490万ドル)、ドイツ(1億3500万ドル)、韓国(1億690万ドル)、イギリス(8970万ドル)。『タイタニック』の再上映も世界で支持を集めており、韓国(250万ドル)、フランス(160万ドル)、メキシコ(100万ドル)、イギリス(100万ドル)、日本(100万ドル)で特に多くの観客が劇場に足を運んだ。

 それにしても、日本における『タイタニック』人気はいまだ色褪せておらず、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は海外ほど当たらなかったにもかかわらず、『タイタニック』の再上映は世界でも指折りのヒットぶりである。実際に映画館では満席の上映が続出しており、2週間限定と告知されている上映期間の延長や、各劇場で現状1日1回程度にとどまっているIMAX上映の追加を求める声も大きい。この作品を優れた環境で堪能できる貴重な機会だけに、ひとりでも多くの観客が楽しめる環境の実現を祈りたい。

 もっともこの週末を、北米の映画館が大いに賑わった3日間と呼ぶことは難しい。今週のNo.1は、チャニング・テイタム主演&スティーヴン・ソダーバーグ監督による『マジック・マイク ラストダンス』だが、3日間で820万ドルという成績は、先週の第4位『長ぐつをはいたネコと9つの命』の795万ドルに肩を並べるものだからだ。

『マジック・マイク ラストダンス』©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 この背景には、2月12日(日曜日・北米時間)に「アメリカ最大のスポーツイベント」と称されるアメリカンフットボールリーグの優勝決定戦・スーパーボウルが開催されたことがある。例年、スーパーボウルの週末は映画館への関心が下がる傾向にあり、基本的に大手スタジオ各社は新作映画(特に男性向け作品を)をこの週末には公開しない。むしろ、スーパーボウルを利用した話題作のプロモーションに徹するのがお決まりなのだ。

 そんな中にあって、『マジック・マイク』シリーズは女性からの支持が大きい人気シリーズ。それゆえにスーパーボウルの真裏で封切られたわけだが、それでも本作には複雑な事情がある。そもそもワーナー・ブラザースは、この作品をHBO Maxオリジナル映画として配信リリースする計画だったのだ。しかし、新企業ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのデヴィッド・ザスラフCEOは劇場体験を重視しており、本作も試写の好評を受けて劇場公開に切り替えられた。

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