『どうする家康』有村架純が松本潤に向けた微笑みの意味 “女大鼠”松本まりかの強烈さも

『どうする家康』有村架純の微笑みの意味

 自分たちの命と引き換えに、瀬名と子どもたちを助けてほしいと氏真に訴えた氏純と巴の姿にも心打たれる。牢に入れられたことで、身も心もすり減らしたように見受けられる巴だが「みっとものうございますぞ、お館様」と声をあげ、意を決した姿からは“今川家につながる出自の高貴な女性”らしい気高さがあった。氏純もまた、瀬名を守りたい巴の心に応え、「我ら夫婦をご成敗なさればお屋形様の面目も保てましょう」と頭を下げる。氏純は穏やかな佇まいが印象的だが、「嫌です……瀬名は嫌です!」と泣く瀬名に「そなたは黙っておれ」「バカを申すな!」と荒々しく声をあげた。氏純は愛娘・瀬名にめっぽう弱いのだが、氏純を演じる渡部篤郎の鬼気迫る表情から愛する子や孫を死んでも守り抜くという気概が感じられた。

どうする家康

どうする家康

 命を懸けて瀬名たちを救った氏純と巴のおかげで、元康と瀬名はようやく再会を果たすことができた。

どうする家康

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 なお、物語序盤では、初登場となった女大鼠(松本まりか)が強烈な印象を残した。女大鼠は忍びとしては未熟な半蔵の後ろにスッと現れ、華麗な技を披露し、次いで半蔵の手を取ると無言のまま技を教え込んだ。半蔵から名を聞かれると「今日からは、大鼠」とだけ答える。妖艶な姿で鵜殿兵を惑わし、ためらいもなくとどめを刺す姿は見事だ。自害した長照のわずかな視線から息子たちの居所を当てる場面では、無駄のない動きからかなりの手練れだとうかがえる。女大鼠が長照から矢を向けられた半蔵を突き飛ばして守る姿には、半蔵を身を挺して守り亡くなった大鼠(千葉哲也)の姿が重なった。半蔵は相変わらず忍びを嫌っているが、女大鼠はそんな半蔵に喝を入れるように鞘で引っ叩くと、にやりと笑った。言葉少なな彼女だが、この清々しさが家康に仕える半蔵の忍びへの認識を変えていくのかもしれない。

※記事初出時、一部の表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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