『忍者に結婚は難しい』菜々緒と鈴木伸之のアクションに釘付け 蛍と悟郎の熾烈な戦い

『忍者に結婚は難しい』蛍と悟郎のアクション

 新婚の頃を思い出し、「どうしてこうなってしまったのだろう」と自問する。夫婦なら誰もが蛍(菜々緒)や悟郎(鈴木伸之)のようなビターな愛情を感じたことがあるだろう。『忍者に結婚は難しい』(フジテレビ系)の第6話は、お互いが敵対し合う忍者だと気付いた蛍と悟郎の熾烈な戦いが大きな見どころとなる。

 お互いが甲賀/伊賀の忍者だと確信した蛍と悟郎は、気付いてしまったからには決着をつけなければならない。探り探りだったディナーを終えた翌朝、ついに戦いの火蓋は切られた。途中、音無一家(勝地涼、筧美和子、河野彩吹)の訪問によって休戦するも、戦いは続く。何度も2人で暮らしてきた軌跡を思い返し、甘い思い出の数々を振り返り、それでも伊賀と甲賀である限りは戦わなければならない。しかし蛍はとある夜の記憶を思い出す。どんなにケンカをしても、悟郎から「好きだ」と言われると全てが帳消しになってしまうのだ。そしてその日の夜も......。

 菜々緒と鈴木伸之の和製『Mr.&Mrs. スミス』(2005年)ともいえる華麗なアクションは視聴者の心をがっちりと掴んだ。手足が長くアクション映えする菜々緒の華麗な足捌きや、大柄な鈴木ががっちりと攻撃を受け止める雄々しさが魅力を放つ。さらにこのシーンには蛍と悟郎それぞれの特徴や過去のエピソードを彷彿とさせる場面までが盛り込まれていた。たとえば蛍は芸術に造詣が深く大切にしている小説や飾り皿があるのだが、それについては戦いの中でも言及されている。さらに悟郎が片付け下手なことやゲームのコントローラーを大切にしていることも描かれた。こうした些細な描写から2人の過ごした年月が感じられ、一層この争いが心苦しいものになる。蛍と悟郎が自分たちの幸せだった時間を思い出すのと同時に、我々も第1話から第5話までの“歩み寄ろうと努力する夫婦の姿”をそこに重ねてしまい、胸が痛むのだ。

 加えて戦いの中では、蛍の芯の強さや実力主義な一面が改めて浮き彫りになり、悟郎の実は腕っぷしが強くたくましい姿もあらわになった。決して説明や会話が多い放送回ではなかったが、1話のほとんどを戦闘に費やすことで各々の性格が雄弁に語られ、これまで以上に夫婦の関係性を感じ取ることができただろう。ラストの濃厚でロマンチックなキスには、これまで言葉で伝えきれなかった数々の後悔や悔しさや愛情が込められていると思うと、益々2人を応援したくなる。

 最後には想いが通じ合った蛍と悟郎だが、全ての問題が解決したわけではなかった。悟郎はこの先、蛍の秘密が伊賀の仲間たちにバレないようにしなければならない。蛍の方はすでに父が悟郎の正体に気づいているため、家族とこの件の決着をつけなければならないのだ。さらには赤巻殺害事件の真相や、今後の任務をどうするかなど、まだまだ問題が山積み。「好き」だけで帳消しにならない数々の困難と向き合っていかなければならない。伊賀と甲賀という生まれながらに結ばれない相手ではあるが、蛍と悟郎にはなんとかこの障壁を乗り越えてほしいと願わずにはいられない。

■放送情報
木曜劇場『忍者に結婚は難しい』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:菜々緒、鈴木伸之、勝地涼、山本舞香、吉谷彩子、藤原大祐、筧美和子、ともさかりえ、古田新太、市村正親ほか
原作:横関大『忍者に結婚は難しい』(講談社刊)
脚本:松田裕子
演出:土方政人、木下高男、小林義則、北坊信一
プロデュース:貸川聡子
編成企画:髙木由佳(フジテレビ)
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/ninja/
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