『舞いあがれ!』夢とリスクの間でめぐみが下した決断 窮地に立たされた横山裕は大丈夫?

『舞いあがれ!』窮地に立たされた悠人

 「なんとか今の形守ってコツコツと続けていくのが精いっぱい」と言い、自分には勇気がないと口にするめぐみだが、経営者としてまっとうな判断と思われる。会社を軌道に乗せ、新たな夢に挑戦する過程でめぐみはIWAKURAの身の丈を理解したのだろう。背伸びして大きな夢を追わなければ、浩太が死ぬことはなかったという後悔もある。夢を追う怖さ、ときに夢は呪いになることをめぐみは誰よりも知っており、「考えて、考えて、考えて出した答え」が航空機産業への参入を諦めることだったのだ。ドラマとしても、途方もない夢を追って高く舞いあがるより、大多数の人が生きる現実を選ぶという地に足の着いた描写だった。

 舞はめぐみの考えを受け入れる。「お母ちゃん、かっこええ社長さんやわ」は、母そして社長であるめぐみへの素直な気持ちだろう。舞は第39話で、自動車部品の製造に乗り出すか迷っている浩太に「かっこええな」「やりたいことやるお父ちゃん、私はええと思うよ」と話している。舞を見ていると、親が子どもの背中を押すだけでなく、子どもが親の決断を認めることの大事さにも気付かされる。

 浩太があの時、無理を押して夢を追わなければ。そんな“もしも”に直面しているのが悠人(横山裕)だった。資産運用で失敗した悠人は、唐突にIWAKURAの権利をめぐみに譲り渡す。リスクの見極めによって悠人も窮地に立たされており、これが悪いことにつながらないことを願う。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

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