『舞いあがれ!』鶴見辰吾は様々な“威厳”を使い分ける 裏が読めない荒金部長の意見
連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)に鶴見辰吾が大手企業・菱崎重工の荒金部長役で登場した。
IWAKURAに入社して4年が経った舞(福原遥)は、営業のエースとして実績をあげ、社内でも信頼されるようになった。IWAKURAも次第に業績が回復。人手が足らなくなって、かつての従業員だった人たちに戻ってきてもらったり、新たな設備投資を検討したりと活気が戻ってきている。そんな中、舞は父・浩太(高橋克典)の夢を叶えたいと、めぐみ(永作博美)とともに航空機部品のセミナーに参加する。荒金は、そのセミナーの企画側の企業として参加。舞の名前を聞くと反応を示し、中小企業が航空機部品に参入するには複数の企業が協力すべきという舞の意見を興味深く聞いていた。
荒金を演じる鶴見の佇まいには、威厳がある。『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(2021年/TBS系)では、日本の医療制度を統括する厚労省医政局のトップである厚生労働省医政局長の久我山役を演じていた鶴見。グッと渋い顔をすれば、凄みがあり、権力のある役人感がありありと感じられる。さらに久我山はTOKYO MERを解体するためには手段を選ばない悪人で、平気で嘘をついたり、人を騙していたりしていたのだが、そのずるさや卑劣さにリアリティがあり、本当に嫌な気持ちにさせられた。
一方で、穏やかな優しい雰囲気の役柄にも鶴見はハマる。映画『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』(2022年)では、「紹介したい人がいる」と恋人・安達(赤楚衛二)を実家に連れてくる黒沢(町田啓太)の父を演じた。最初は、何か心ないことを言われるのではないかと警戒している黒沢の顔そのままに、怒っているような表情をしていたが、「幸せな人が増える。これ以上のことはない。君たちの人生は、君たちのものだ」と話した。その言葉には、父の威厳を感じさせる重みもあるが、息子の幸せを喜ぶ気持ちも滲んでいた。にこやかな顔を見せる父につられるようにその場は和やかな雰囲気となり、鶴見の醸し出す雰囲気がピッタリとはまる一場面となっていた。