山下智久の発声はハリウッド俳優に近い? 海外での仕事が増えている背景を読む

山下智久、海外での仕事が増えている理由とは

 「山P」こと山下智久の俳優としての魅力が歳を重ねるごとに増している。『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)や『アルジャーノンに花束を』(TBS系)、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)シリーズ、そして2022年に放送された『正直不動産』(NHK総合)などのドラマ作品から、肉体をしっかり作り込んだ映画『あしたのジョー』やNetflixドラマ『今際の国のアリス』シーズン2などで、さまざな一面を見せてきた。

 そんな山下が、映画『SEE HEAR LOVE ~見えなくても聞こえなくても愛してる~』(以下『SEE HEAR LOVE』)で主演を務める。本作は、Web漫画『見えなくても聞こえなくても愛してる』を実写映画化したラブストーリーで、次第に目が見えなくなる病を患った漫画家と、それを支える生まれつき聴覚障がいを持つ女性の恋模様を描く。

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 監督を務めるのは、『私の頭の中の消しゴム』のイ・ジェハン。こちらは若年性アルツハイマーを患った妻とその夫の夫婦の物語が描かれ、日本でも大ヒットを記録した韓国映画だ。今作も障がいをテーマにしたラブストーリーということで、感動的な展開が用意されているドラマとなるだろう。

 これまで多くの個性的なキャラクターを演じてきた山下だが、今作では「次第に目が見えなくなる病を患った漫画家」をどのように演じるのだろうか。ドラマ評論家の成馬零一氏は、山下の演技アプローチについて次のように語る。

「山下さんはストイックに身体から作り込んで、役に入っていく方ですよね。『今際の国のアリス』シーズン2では、全裸姿のキューマという主人公と敵対する役柄で、圧倒的なインパクトを放ちました。筋肉で芝居を作っていると言ってもいいぐらい、全身の作り込みが凄まじかった。なぜか1人だけ全裸なのにカリスマ性がある人物。キューマのカッコよさとユーモアを体現できたのは山下さんだからこそだと思います。役柄によって肉体を徹底的に変えるという点では、鈴木亮平さんとも通じるものも感じます。いわゆるロバート・デ・ニーロの“デ・ニーロ・アプローチ”ですね」

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 さらに、山下の俳優としての魅力について、成馬氏は次のように続ける。

「『この人じゃなきゃいけない』と思わせる唯一無二の個性が山下さんの芝居にはあります。ただ、その芝居が、日本のドラマだと良くも悪くも浮きあがり異物感となっていた。『正直不動産』ではその“浮いている感じ”が、嘘をつけなくなり本当のことしか喋れなくなる主人公の設定とガッチリとハマり、山下さんにしかできない役柄になっていました。山下さんのセリフの発し方は自然で、囁くように話すと絵になる。雰囲気が先行する映像的なもので、ハリウッド俳優のアプローチに近い。日本のドラマははっきりとした発音で正確にセリフを発する芝居が求められるのですが、映画や海外ドラマでは、必要以上に声を張らない自然な雰囲気が好まれる。山下さんの芝居は後者で、だからこそ、日本のドラマでは異物感のある“個性”に見えてしまうのですが、逆に海外ドラマの『THE HEAD』(Hulu)のような、違う言語の芝居をすると、妙にしっくりくるところがある。本人もどこかでそのことを感じているのではないでしょうか。だからこそ、近年は海外での仕事が増えているのだと思います」

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