『アントマン』最新作は“らしくない”シリアスな展開に? 人気ヴィランのモードックも登場

『アントマン』最新作、モードックの正体は?

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします!

 『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の本予告が解禁となりました。映画自体が2月公開予定なので、タイミング的にこれが最終予告編という感じでしょうか?

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』予告編

 今までの予告編では、アントマン/スコット・ラング(ポール・ラッド)たちがクアンタム・レルム(量子世界)に引きずり込まれ、そこで今後のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のメインヴィランの一人になると言われているカーン(ジョナサン・メジャース)と出会うまでが描かれていました。どちらかというと、これまでの予告編は、量子世界という異世界自体をフィーチャーしていたように思います。しかし、今回の予告編で少しストーリーがわかってきました。

 どうやらカーンは、アントマンに“ある物”をとって来させようとしている。その見返りに、彼に失った“時間”を与えると約束します。ただしその“ある物”をとってこなかったら、アントマン自身の存在も消してしまうと。これはどういうことか? ワスプ(エヴァンジェリン・リリー)の母ジャネット(ミシェル・ファイファー)の説明によれば、このカーンは「存在を書き換え、時間軸ごと破壊する」と。つまり時間をいじり、現在・過去・未来を思いのままに変えてしまう存在のようです。

 だから、アントマンが存在しなかった歴史=時間軸を作ることもできるのかもしれない。では、それほどの力を持つカーンがなぜこの量子世界でくすぶっているのか? その“ある物”とは、カーンを量子世界から解放するために必要なものなのか? ということが予想されます。そして重要なのは、なぜアントマンが彼の申し出を受け入れられるか? です。それは、存在を消されてしまうという脅しにのったわけではありません。カーンが“時間”をくれると言ったからです。その“時間”とは、娘キャシー(キャスリン・ニュートン)と会えなかった=娘キャシーの成長を見届けることのできなかった空白の5年です。父親として娘の大事な時間に関われなかったことは痛恨以外のなにものでもない。カーンは歴史を書き換え、この5年間のやりなおしをアントマンに与えると言っているわけですね。

 ここではたと気づく。実は今回の『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は3世代ヒーローの物語です。つまり初代アントマン&初代ワスプであるピム博士(マイケル・ダグラス)とジャネット(ヘイリー・ラヴィット)、2代目アントマンと2代目ワスプであるスコットとホープ、スコットの娘キャシーです。実はピム博士とホープもジャネットが30年近く量子世界に迷い込んでいたため、夫婦の時間、母と娘の時間を過ごせずにいた。つまりアントマンファミリーの全員が“失われた家族の時間”という哀しみを背負っているわけです。ここにカーンがつけこんでくるのかもしれません。

 しかし、アントマンは最後にカーンに立ち向かう! もしかするとアントマンとカーンはすでに何度も戦っており、その都度カーンにアントマンは倒されるという歴史=時間軸が繰り返されているのかも! だから、時間軸ごとのアントマンがたくさん存在するし、アントマンはカーンを倒せないと知っているから「勝つ必要はない。一緒に死んでもらう」と相打ち作戦に出るのではないか?(このあたり『ドクター・ストレンジ』で何度もタイムループしてドルマムゥに挑むドクター・ストレンジ的な展開になるのかもしれません)

 僕らは量子世界を舞台にした、アントマンの映画らしいファンタスティックなアドベンチャーを期待していましたが、想像以上にシリアスなアントマンの選択の物語になるのかもしれません。そして! この予告編で注目すべきは1分46秒目に登場する異形の怪人。

 マーベル・コミック好きにはおなじみの、そして「待ってました!」と思わず声が出てしまうキャラ、モードックです! M.O.D.O.K.とつづります。M.O.D.O.K.は、1967年にキャプテン・アメリカの敵としてデビューしました。元は悪の組織A.I.Mの科学者で、ジョージ・タールトンという男でしたが、実験により、巨大な脳=頭と小さな手足を持つダルマのような生命体に改造されてしまいます。そしてその体を浮遊力のある特殊な椅子に固定させ、ふわふわ浮きながら襲ってきます。巨大脳であるから恐るべき知性を持っており、また精神波を発射して相手を消滅させます。M.O.D.O.K.は一応(その後のコミックでMの部分の解釈がたびたび変わるのですが)、Mental Organism Designed Only for Killing=殺人に特化した精神有機体……みたいな意味です。そのユニークな外見ゆえ、人気のあるヴィランです。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる