『ブラッシュアップライフ』さすがのバカリズム脚本! 独特の世界観に“沼落ち”
彼女はある日突然、人生をやり直すことになるーー。
バカリズムが描く地元系タイムリープ・ヒューマン・コメディー『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)が、いよいよ1月8日にスタートした。
第1話の序盤は、地元の市役所で働く主人公・近藤麻美(安藤サクラ)のごく平凡な人生が描かれていく。窓口業務で市民に怒られてはストレスを溜め、その鬱憤を吐き出すように同僚とのランチで愚痴大会が始まる。なんだか、バカリズムが脚本を手がけたドラマ『架空OL日記』(読売テレビ・日本テレビ系)を彷彿とさせるようなリアルな愚痴の連発。「(窓口の挨拶は)“いらっしゃいませ”で統一してほしいよね?」とか、「“こんにちは”って言ってたんだけど、馴れ馴れしいってキレられた」だとか、クスッと笑えて共感できるツボを押さえてくるのは、さすがバカリズムである。
そして、麻美と仲良しの二人・夏希(夏帆)&美穂(木南晴夏)のガールズトークはあまりにもリアルで、クスッと笑ってしまった。たとえば、すべてが完璧な同級生“まりちゃん”のエピソード。「あそこまで優秀で、性格までいいって、むしろ性格悪いよね」という麻美の言葉に、共感した人も多いのではないだろうか。どのコミュニティにも、“まりちゃん”みたいな女の子って存在する。一緒にいるとなんだかモヤっとしてしまうけど、妬んでしまうとこちらが悪になってしまうような。そういう些細な“トゲ”を見つけ出し、引っこ抜いてくれるのも、バカリズム脚本の魅力の一つ。
個人的には、“サービスのポテト残しづらい問題”に強く共感した。「絶対言っちゃいけないこと言っていい?」と前置きしておきながら、“絶対言っちゃいけないこと”(「ポテトサービスするなら、ドリンク無料にしろよ」とか)をズバズバ言っていく3人。彼女たちを見ていると、まるで自分も一緒に女子会をしているかのような気分になって、「わかる!」と相槌を打ちたくなる。
しかし、そんな麻美の平凡な人生は、不慮の事故により呆気なく終わりを迎えてしまう。「あのぉ、なんか死んじゃったみたいなんですけどぉ」と他人事のようにあっさりと事態を受け入れる麻美。死後の世界の案内人(バカリズム)もあまりに淡々としているため、なんだかコントを見ているかのような気分に。しかも、麻美の“来世”がグアテマラ南東部のオオアリクイだと発表された瞬間は、思わず吹き出してしまった。さすがに、それは……。わりと受け身で生きている麻美も、人間からいきなりオオアリクイになると言われて受け入れることはできない。「新しい生命ではなくて、もう一度近藤麻美様として同じ人生をやり直すことでしたら可能です」という提案に、あっさり乗ってしまうのだった。