ジニョンら演技ドルの飛躍、パク・ウンビンらヒロインの輝き 2022年韓国ドラマ座談会
順調に認知度を上げているウィ・ハジュン
ーーほかに今年はこの人が出てきたなという俳優はいますか?
にこ:キム・ヨンデです。『ペントハウス』と『流れ星』に出演していました。ラブコメ時代劇『禁婚令』がRakuten Vikiで配信中なのですが、視聴者層がだいぶ限られてしまうので、Netflix配信だったらランキング入りしてもっと注目されて人気が出たんじゃないかなと思っています。韓国ドラマはどこの配信サービスで配信されるかも重要なので、少し残念な面もありましたね。それと今年に出てきたわけではないですが、今シーズン放送・配信中のソン・ジュンギ主演のの『財閥家の末息子』がすごく伸びていて。すでに年間1位の視聴率を達成しているので、さらに更新してくるのではないでしょうか。『ヴィンチェンツォ』のカサノ役とは全く違った役で、すごくいいです。
Nana:ずっと「今年最高の期待作!」と言われ続けて、最後にしっかり今年最高のヒットをさせるあたりが本当に凄い。というかソン・ジュンギが出演するドラマは『太陽の末裔』しかり『ヴィンチェンツォ』しかり、もう間違いないという確信があります(笑)。
ヨシン:私は『イカゲーム』から順調に認知度を上げているウィ・ハジュンが気になります。今年は『シスターズ』で何を考えているか分からないけど魅かれてしまう男を演じていました。けっこう重要な役どころでしたよね。これまでは『ロマンスは別冊付録』『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』での優しい雰囲気の青年役から、『ガール・コップス』や『殺人鬼から逃げる夜』では振り切った悪役や狂気的な役をこなしてきた経歴もあって。作品も続いているので、役柄の幅を広げていきそうな気がしています。
にこ:ウィ・ハジュンはディズニープラスで配信予定の『The Worst of Evil(原題)』でチ・チャンウクとの共演も控えていますね。
ヨシン:今回は、チ・チャンウクと対峙する犯罪組織のリーダー役みたいです。先ほど挙げた映画でもそうですが、迫力のある悪役で存在感を放つ俳優でもあるので楽しみです。
ヒロインが魅力を放っていた年
ーーヒロインだとやはり『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(以下、『ウ・ヨンウ』)のパク・ウンビンでしょうか? 韓国ドラマファンに限らず本当に幅広い人が観ていた印象で、日本ファンミーティングは申込み殺到で追加公演もあったほどだと聞きました。
Nana:2019年の『愛の不時着』以降にヒットした作品の中で、『ヴィンチェンツォ』は両国で人気がありましたが、日韓が同じ熱量で大きく盛り上がったドラマは『ウ・ヨンウ』が初めてだったんじゃないかなと。これまで韓国ではあまり注目されていない作品が日本ではヒットしたとか、逆に韓国で人気があっても日本では配信されない、もしくは大きく盛り上がらないというような状況が続いていたので。これまで韓ドラを観てこなかった人も巻き込んで、本当に皆が観ていましたよね。1、2話完結型のストーリーが日本の視聴者にマッチしていたのもあるかなと思います。
にこ:佐藤健さんなどの日本の芸能人の方も『ウ・ヨンウ』のことを発信していましたよね。パク・ウンビンは『ブラームスは好きですか?』『ストーブリーグ』『恋慕』ときて、『ウ・ヨンウ』で今までとは全然違う姿を見せてくれたなと思います。9年ぶりの映画出演となる『THE WITCH/魔女 ―増殖―』が2023年の5月に日本で公開予定で、イ・ジョンソク、キム・ダミと同じスクリーンに並ぶのかなと想像するだけでもワクワクして楽しみでしかないですね。
Nana:パク・ウンビンはもちろんですが、『二十五、二十一』のキム・テリが話題になって、今年の百想術大賞で最優秀演技賞や一般投票によるTikTok人気賞も受賞したので、そこからヒロインにスポットライトが当たる作品が続いていたなと思います。『ユミの細胞たち』シーズン2や『シスターズ』のキム・ゴウン、『アンナ』のぺ・スジなど、とにかくヒロインが魅力を放っていた年でしたよね。
にこ:『未成年裁判』と『シュルプ』のキム・ヘスも凄かったですよね。さすが大女優キム・ヘス姉さんと呼ばれる圧巻演技を見せてくれました。『未成年裁判』では、クールで感情を抑圧しながらも、圧倒的な目力で罪を犯した未成年たちに迫っていくさまが圧巻でした。『シュルプ』では常に息子たちのことで心が休まる暇がない王妃を演じましたが、『未成年裁判』では冷静で冷たい青い炎のようなものを秘めた演技で、『シュルプ』では肝っ玉母さんのような情熱的で熱い真っ赤な炎のような演技と演じ分けが見事で、グイグイ引き込まれました。ファリョンが、気に入らないことがあったりするときにする、眉毛を片方あげての感情演技が素晴らしかったです。来年の百想芸術大賞がどうなるのか、とても楽しみです。
Nana:キム・ヘス姉さんは毎年やってくれるんです(笑)。来年の百想芸術大賞にも間違いなくノミネートされると思います。ノミネートされれば2020年、2022年に続きここ数年で3度目のノミネート。しかも今年はパク・ウンビンの年だと思うので、彼女が受賞すれば3回連続で逃すという……。
ヨシン:賞は逃していても、毎年ノミネートされる実力と存在感は別格ですよね。そういった意味では、若手とか新人にとっては目指すべき目標となる。『シュルプ』でも後輩俳優のたちへの愛があふれていました。パク・ウンビンに関しても同じ。自閉症スペクトラム症という難しい役を務めた演技力も評価すべきところですが、それよりも彼女の人間力が見えたドラマだったと思います。魅せるというよりも理解しようという誠実さがあった。そういった姿勢がウ・ヨンウという一人の女性を作り上げて、ここまで多くの人から愛されるキャラクターになったのかなと思いますね。
■配信情報
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』
Netflixにて配信中
出演:パク・ウンビン、カン・テオ、カン・ギヨン、チョン・ベス、チュ・ヒョニョン、ペク・ジウォン、ハ・ユンギョン、チュ・ジョンヒョク
演出:ユ・インシク
脚本:ムン・ジウォン